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料理研究科の中南米食文化紀行=食材豊富なペルー

グルメクラブ

11月14日(金)

 中南米で最もおいしい料理はメキシコそしてペルーにあるとの結論に達した。
 チリの魚介類、アルゼンチンの牛肉も確かに最高だが、調理方法が単純。ヨーロッパから入ってきた食文化が中心で、歴史といってもせいぜい十六世紀からのものだ。
 それに比べメキシコにはマヤ、アステカ、ペルーにはインカがあった。先史以来の文化がいまに受け継がれている。
 空中都市マチュピチュの大半が実は段段畑とかんがい施設で占められているのをご存知だろうか。スペイン軍がインカ帝国に到達時、既に二百種以上の作物が栽培されていたそうだ。
 現在でも市場に行けば少なくとも二十種以上のジャガイモ、十種ほどのトウガラシとトウモロコシに出くわす。それらを組み合わせてシチューやサルサ(ソース)を作るのだから味の方も一筋縄ではない。
 チリに次いで海産物をみかける国だろう。セビッチェ(白身魚をオイルと酢で味付けたマリネ)が有名だ。タコやエビに代えて作ることもある。
 代表的な軽食といえばアンティクーチョ。漬けダレに浸した牛肉を串焼きにしたもので、先端にジャガイモが一個ついてくる。
 ほかにタンパク源としてリャマ(ラクダ科)を食す。コレステロールが少なくビタミン豊富なことで知られる。主食のキヌワ(ヒエ、アワのようなもの)同様、健康食といえるかもしれない。
 お国自慢の銘酒はピスコ(ブランデー)。出荷した港町の名前を付けた酒だ。いまでも足でブドウを踏み手動の圧搾機で製造している現場に遭遇した。
 古来より食材に恵まれていたところにスペイン文化が入ってきた。西洋との接触で生まれた産物も含め多様な料理と出会えるのがこの国の特徴だ。