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料理研究科の中南米食文化紀行=パラグアイは黍料理

グルメクラブ

11月28日(金)

 ひたすら青い空が続く。そして赤土と緑。ゆったりと流れる空気に南米一平和な環境と思う。
 スペイン語のほかにグアラニー語を公用語として認めている。義務教育の現場で先住民族の言語を教えている国を他に知らない。
 食文化ではお茶とそれに使う薬草に注目した。一般的に肉を多食する傾向にあるため、国民はミネラルが豊富な葉っぱの成分を体内に取り入れることで繊維補給している。イェルバ(葉)を壷に入れて冷やして飲めばテレレ。熱湯を注げばマテになる。
 仲間内でテレレを回し飲みする風景をよく目にした。銀のストローで吸うのだが、だれも口元を拭いたりはしない。その信頼と一体感。日本でいえば「同じ釜の飯を食う」に相当する感覚だろう。
 マテの場合、ユヨ(薬草)をブレンドして飲むのが一般的。二百以上の種類があるとされる。まさに先住民族の知恵だ。
 わたしが食後によく利用していたのはボルドーで、これは消化、便通を助ける作用がある。究極のやせ薬としても知られる。
 グアラニーの食文化において重宝されたトウモロコシを用いた料理がいまも目立つ。例えば、ソパ・パラグアジャなどがそうだ。
 しかしソパといってもスープではない。昔、あるひとがコーンスープを作ろうとしたが失敗。焦がしたその固まり食べたことに始まった料理と聞いた。本当のスープではトウモコロシの粉で作った団子を浮かべたボリ・ボリがある。
 首都アスンシオンの市場では堂々とアルマジロが売られていた。これもやはり、かつて半狩猟採取で暮らしていたグアラニーの食習慣の名残であろう。