グルメクラブ
1月23日(金)
「肉がないということは食事がないということだ」
そんな諺がこの国にはあるそうだ。旅行中、日本人は米ばかり食べていてよく生きて行けるな、と真顔で言われたりした。
荒野で生活した「ガウチョ」(カウボーイ)が考案した料理法が「アサード」。串刺しにて直火であぶる。
自慢の肉は確かにおいしい。ただ、塩とレモンのみの味付けはやや単調、添えてあるサラダもお飾り程度だ。多少物足りない、という人なら「チミチュリ」(香草ソース)を利用したい。どこの店にも置いてある。
意外なところで感動したのは、ブエノスアイレスの韓国人街で食べた「プルコギ」(韓国式焼き肉)。アルゼンチン肉が合うのか、ソウルより値段が安いうえ、味わいも良かった。
変わったところでは、「マタンブレ」がある。卵や野菜でくるんだ牛肉の下腹部を薄く切った品で、前菜として度々出てくる。
肉を食べるとき。聞くなら哀愁漂うタンゴ、飲むなら濃厚な赤ワインだろう。 メンドーサには南米一のワインの産地があり、工場見学も可能だ。フランスにひけを取らない逸品にも出会える。最も安くて一本五十円くらい。そこそこの品で四百円。千円も出したら、十年前の年代物が購入できる。
お薦めはトラピチェ社やロペス社の赤ワイン。ブドウはマルベック種を用いたもので、カベルネ種よりも渋みは少なく、香りは果実味にあふれる。
食後のデザートでは「フラン」(プリン)が一般的だ。元来はフランス料理だが、肉料理のレストランでは必ず見かける。
ブエノスアイレスの夜は長い。夕食は午後八時、九時から。タンゴのショーなどは午後十一時の開始も普通のことだ。