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カルドーゾ大統領の功罪=パラナグァ 増田二郎

 私はこのブラジルに、呼び寄せ移民として1953年に渡伯いたしました。来た当時は漠然と、祖父たちの仕事と同じように農業で身を立てて行くのだと思っていましたが、こちらの食べ物のあまりにもの油っこさに、腎臓炎をおこしてしました。それ以来、農村生活を諦め、15歳で町に出てある商店で住み込み小僧として働き始めました。 その3年後には、叔 ...

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ニッケイ俳壇 (858)=星野瞳 選

アリアンサ  新津 稚鴎

激つ瀬のひっぱる風や木々芽ぐむ
草萌ゆる野やぽっかりと月浮かべ
鼻振って家の漫歩や蝶の昼
夜蝉鳴く泣き虫の樹が泣き止めば
貯水池に天から降って目高棲む
いさぎよく葉を落としイペ花仕度
水温む鶏が孵せし子家鴨に

【作者・稚鴎さんは来たる十月三日で百才になられる】

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戦後70年と言うけれど=イタペチニンガ 佐瀬妙子

 1945年7月も終わりに近い朝、私は母と裏庭にコンロを出して非常食用の大豆か米を炒っていた。その時、裏の木戸が開いて誰かが入って来た。振り返ると兄だった。兄は中学4年の時、海軍甲種予科練習生として入隊。筆まめな人で、各地に転勤になるたび葉書をくれた。 つい1週間前、中国の青島航空隊から元気な便りが届いたばかりの兄が突然現われ、 ...

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衣服と朝のひと時=イビウーナ 瀬尾正弘

 私の起床は毎朝5時である。床から出ると先ず窓を開け、今日の天気はどうか空一面を見て雲の様子など眺める。まだ少し暗いが…。冬場は外温が何度あるか確認して、作業着の上、下着など決めて着服する。天候に異変がなければ毎日ほぼ同じ様な衣服だ。 しかし冬場は毎日の温度差が大きく、ズボン以外は一定ではない。ことに私の住むイビウーナ地方は、冬 ...

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最終回 コシーニャ (Coxinha)

 COXINHAは、ブラジルスナックでとてもポピュラーな一品です。  お買い物の後、こばらを空かせた時に、冷えたマテ茶と一緒にいただくのが楽しみでした。  仕事の合間に、サラリーマン達も街のバールでサッカー中継を見ながらコシーニャを食べていました。  コシーニャは、サンパウロ州の Grande São Paulo で作られたそう ...

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ニッケイ俳壇 (857)=富重久子 選

ツッカーノ

ボツポランガ  青木 駿浪
念願の和牛を試育草青む
【「和牛」は、日本の在来種と輸入種とを使って改良した牛のことで、昔は労役に使っていたが、現在は食肉用として飼育しているとある。  そんな和牛を、自分の農地で試育してみたいという念願があったのであろう。季語の「草青む」が良い選択であった】

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目良浩一氏の講演を聞いて=サンパウロ 駒形秀雄

 『太平洋戦争は米国が仕掛けたものだ』というご自分の説を立証されるため、良くこれだけの資料を、しかも旧敵国の米国で集められたものだと、大いに感心致しました。 更にこれを一般にも知らせようとする先生の熱意また、ニッケイ新聞社のご尽力に大いに敬意を表します。 12月8日の真珠湾攻撃を私達日本人は「良くやった、大成功」と喜 び、今でも ...

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日本語教育=カンピーナス 鈴木マリア恵美子

 8月26日(水)付のニッケイ新聞「オーリャ!」を興味深く読ませていただきました。「ブラジル人の友人と日本語・葡語の交換授業…互いの母語を教えあう…」とありましたが、「母語は話せても教えられない」というのが、かなしい現実ではないのでしょうか。 日本人でありながら、ブラジル人でありながら、どちらも母語の説明ができないのはフツーなん ...

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ニッケイ歌壇 (497)=上妻博彦 選

サンパウロで開催される県人会連合会主催の日本祭では、各県人会が郷土食を販売するコーナーが大人気。日本人、日系人だけでなく非日系人も競うように求め、ブース前には行列ができる。

サンパウロ  武地 志津

郷里より届きたる本「伊勢神宮」開けば爽快の気われを包みぬ
参道の砂利踏む音のさくさくと正に聞こゆるごとき写真に
幼時より思い出深い五十鈴川朝もやけぶる静寂の中
シンビジウムの鉢携えて来し友が娘(こ)の佛前に香薫き呉るる
同じ頃娘(こ)を失ないし友とわれ折々にして遺影に語る

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ニッケイ俳壇 (856)=星野瞳 選

故・西谷博(南風)氏

【この九月四日世を去った西谷南風遺句集より】

仔馬追ふ母馬の眼の人に似る
時雨るるやキリストの本売ル人に
百雷の轟く滝の夕燕
吹き荒れて谷に落ちたる野分かな
火焔樹の下に人待つ恋乙女
鍬百姓四十年や豆の花 ...

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