俳句

  • ニッケイ俳壇(901)=富重久子 選

    セザリオ・ランジェ  井上人栄
    ときめきの心にも似て春を待つ
    【「春を待つ」丁度この頃の季節である。高階から外を眺めると、墓場の森など枯れ色が目立ち侘しい景色が目に入る。林立

  • ニッケイ俳壇(900)=星野瞳 選

    アリアンサ  新津稚鴎

    夕立の止みたる鰐の沼匂ふ
    汝逝きてわが春愁のやり場なし
    天の川潤みみかんの花匂ふ
    春寒くわれを見つめて埴輪の眼

  • ニッケイ俳壇(899)=富重久子 選

    イツー  関山 玲子

    寒の雷一喝されて眠られず
    【雷は大体夏に鳴り響き、雲の峰に轟き渡り豪雨を伴ってくる事が多い。サンパウロは此処しばらく降雨が無く、雷も聞かず雨の待た

  • ニッケイ俳壇(898)=星野瞳 選

    アリアンサ  新津稚鴎

    土手すべり落ちしは太き穴まどい
    棉摘み賃ピンガ呑むなと払いやる
    曳いて来し蜘蛛置いて穴掘る地蜂
    蟇を呑む蛇の口元蠅たかり

  • ニッケイ俳壇(897)=富重久子 選

    サンパウロ  串間いつえ

    みみづくや夜の長きを聞かずとも

    【みみづくは梟と同属であるが、耳という毛角を持っているのでそう呼ばれる。
    この句は木莵と漢字を使わず「

  • ニッケイ俳壇(896)=星野瞳 選

    アリアンサ  新津稚鴎

    月のぼる口一文字にひきむすび
    のぼりたる月の笑顔となりにけり
    のぼる月の大いなるかなゴヤスの野
    母やさしかりし雑炊熱かりし<

  • ニッケイ俳壇(895)=富重久子 選

    アチバイア  吉田繁

    ゴヤス路や秋の入日の大あかね

    【ブラジルに移民してこの方、あまり旅もしないのでこのような雄大な俳句には、何時も心引かれる私である。
    「秋の

  • ニッケイ俳壇(894)=星野瞳 選

    アリアンサ  新津稚鴎

    腕組を解き炎天に出て行きし
    流れ星燃え尽きし如移民逝く
    パイネーラ花色濃きが侘しき日
    受難日は雨山鳩が啼いている
    この

  • ニッケイ俳壇(893)=富重久子 選

    コチア  森川玲子

    身を縮め朝の着替へや冬の入り

    【ブラジルの歳時記では五、六、七月が冬季になっているので、六月はまさに冬季の真っ只中である。
     私もこの句の様

  • ニッケイ俳壇(892)=星野瞳 選

    アリアンサ  新津稚鴎

    虻が来て蝶来て天気葱坊主
    着ぶくれて南風寒き国に老ゆ
    行く秋や牧場に白き月残し
    草山の草分けのぼる秋の風
    雲の峰一日崩

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