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俳句

ニッケイ俳壇(846)=星野瞳 選

焚火祭はフェスタ・ジュニーナ(6月祭)のことで、田舎風に装った若い人たちが集まり、大きな焚き火を囲み、大鍋でピンガに香料や砂糖を入れて煮るケントンを呑み、歌い踊ったりする。

   アリアンサ         新津 稚鴎 迷い入れし冥土の如く寒夕焼枯れるもの枯れ麻州野は夕焼けて風止みしこの静けさも夜の秋珈琲園耳の短い兎住む鋤焼きの最後は餅を入れて食ふ【一九一五年十月三日生れで、この十月で百才になられる。一字も正しく書いて下さる。字がまともに書けなくなりましたがとは云われるが。大麻州の寒夕焼が目に浮ぶ様 ...

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ニッケイ俳壇 (845)=富重久子 選

『ジュニナ祭』は6月祭のこと。ポルトガルのキリスト教の祝日に起源を発し、ブラジルでは収穫祭や冬至などと併せて祝う祭り。男の子はヒゲを描き、破れた麦藁帽子にチェックのシャツ、女の子はそばかすメイクにドレスを着てクアドリーリャという踊りをおどる。この時期、学校の恒例行事にもなっている。

   サンパウロ         間部よし乃 冬帽子買って話が又弾み【どこか友達と旅をした時の事であろうか。賑やかにあれこれ帽子を選んでは被ってみて、皆それぞれの好みの帽子を買い満足して店を後にすると、またまた話が弾み愉しい旅が続いていく、というまことに女性らしい和やかな佳句。】 思ひ出の田舎へ旅を移住祭【六月十八日は移住祭でし ...

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ニッケイ俳壇(844)=星野瞳 選

『カイピリンニャ』はさとうきびを蒸留して作るブラジル伝統のカクテル『カイピリーニャ』のこと。

   アリアンサ         新津 稚鴎 秋深し味噌つけて焼くにぎり飯サボテンの実を紅くして露寒し地ひびきのして秋の雷鳴り渡る立ちのぼる焚火煙りに散る木の葉朝寒しねじり鉢巻して無職【最近の『俳誌・葛』で巻頭を得られたとも聞くが、この俳壇でも巻頭作家でもあられ、老いていよよ顕なる作者をうれしく思います】    北海道・旭川市  ...

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ニッケイ俳壇(843)=富重久子 選

今年6月18日、サンパウロ市イビラプエラ公園内にある先没者慰霊碑前で行われた追悼法要の様子

   プ・プルデンテ       小松 八景  移民の日語り伝へて次世代へ【六月十八日はいみじくも「移民の日」である。戦後移民の私共には、その苦労の真相は新聞や書籍、或いはその方々から聞かされる実話によるしかないが、つくづく身にしむ思いの募るものばかりであった。ここに掲げる五句は、その移民の日を簡明に潔く詠まれた俳句として、明日 ...

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ニッケイ俳壇(842)=星野瞳 選

『マンジョカ』はキャッサバのこと。芋はタピオカの原料。

   アリアンサ         新津 稚鴎 大王椰子銀河を浴びて身じろかず俳恩をかしこみ虚子を祀るなり移住地は山鳩鳴いて虚子祀る柵を出て仔を産む豚や竹の春麻州野の牛追ふ馬も皆肥えて    北海道・旭川市       両瀬 辰江 母と摘みし蓬の香り幼き日戦無き北の大地にリラ香る追越され又追越され春の道一斉に芽吹き出したる北の大木 ...

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ニッケイ俳壇(841)=富重久子 選

ゴイアーバ

   サンパウロ         松井 明子 蔓サンジョン眺めつ遠き旅に出る【「蔓サンジョン」はブラジル原産。街中ではあまり見られないが、郊外から奥地に行くと崖に蔓を伸ばしたり牧場の柵に巻きついたりして、初冬から橙色の筒型の花を咲かす。 その昔、旅に出ると牧場や木立の木々に蔓サンジョンが懐かしい色に咲きついで、飽く事知らず眺めた ...

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ニッケイ俳壇(840)=星野瞳 選

『コンデ』とは果物のアテモヤのこと。釈迦頭とチェリモヤを掛け合わせた品種 。(Foto By Muhammad Mahdi Karim (www.micro2macro.net) Facebook Youtube (Own work) [GFDL 1.2 (httpwww.gnu.orglicensesold-licensesfdl-1.2.html)], via Wikimedia Commons)

   セーラドスクリスタイス   桶口玄海児 万の民に秋の夜空の美しきアレルイア咲けばアレルイアの山と呼び蜻蛉の空を汚せしウルブの輪マンジオカ州が変れば名の変り    北海道・旭川市       両瀬 辰江 春の色巷に満ちて雛飾る早春の雲流れゆく空広し掲示板見ている人も春の服デパートの値札半額冬終る    プ・プルデンテ     ...

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リベイロンピーレス=第23回全伯虚子忌俳句大会=総合点1位は中馬和子さん

参加者全員での記念撮影

 第23回全伯虚子忌俳句大会が4月21日にリベイロンピーレス市で開催され、各地から俳句愛好家約60人集まった。兼題は虚子忌、運動会、栗、歓喜樹、秋の水。5人の選者が特選、次点の選考を行い、また参加者全員で句に投票する総合点の投票が行われた。総合点順位は以下の通り第1位中馬和子、第2位平間浩二、第3位岩崎ルリカ、矢沢あい、第5位西 ...

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ニッケイ俳壇(839)=富重久子 選

『セラード』はおもに幹の曲がったまばらな灌木とイネ科植物を主とする低木をまじえた草原。(1991年8月出版 農業総合雑誌アグロナッセンテ57号より)

   サンパウロ         串間いつえ 身に入むや故人となりし事知らず【「身に入む」は、秋も深まって寒さが身に入むと言うことと、また身内に深く感じ主観のこもった意味あいもある「深秋の季題」である。 最近俳誌の中に名前のない人がいて、それとなく病気であることを聞いてはいたが、その人の病死を聞かされてびっくりしている様子である ...

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ニッケイ俳壇(838)=星野瞳 選

『クワレズマ』はクワレズメイラという南米原産のノボタン(野牡丹)科の花樹(かじゅ)の事 。(写真は2010年3月20日付けエスタード紙でも紹介されたリベルダーデ(東洋街)のクアレズマ)

   セーラドスクリスタイス   桶口玄海児 母作るボリンニャデシューヴァ夏休み雨降れば人恋しがる山家猫マンゴー樹をマリタカの群れ襲いたるブラジルの萩水昌村の霧宿しインジオの少年を呼びラン捕りに(ランは蝦蟇)    北海道・旭川市       両瀬 辰江 花の芽を子供待つごと眺めおり早春の日差しの窓に鉢移すものの芽を散歩の道で楽 ...

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