アリアンサ 新津稚鴎
虻が来て蝶来て天気葱坊主
着ぶくれて南風寒き国に老ゆ
行く秋や牧場に白き月残し
草山の草分けのぼる秋の風
雲の峰一日崩れず牧遅日
2016年6月16日 俳句
2016年6月15日 自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎
入ってまずビールを注文。「何かおつまみは」とガルソンが聞く。奥地のフランゴ(若鶏)のから揚げを注文した。昼間の余りにも美味しい味に釣られたのである。でも、出てきたから揚げは、鶏は鶏でも鶏の味が違う。これが当たり前の味なのだ。 グイグイ遣っていたら、ガルソンが遣って来た。「セニョール(貴方)はどこから来たか」と聞く。「サンパウロ ...
続きを読む »2016年6月11日 自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎
そんなわけで父親と「兄さん」の仲はますます険悪なものとなっていった。いつも言い争いが絶えなかった。兵譽は町に出て、現状に不満をもつ人々の仲間入りをするようになっていた。 「笠戸丸」から二〇年以上も過ぎ、サンパウロ奥地の農村地帯では、日本からの移住者は力を合わせて会館を建設し、体育館も建て、スポーツを楽しみ、祭りや宗教行事、政治 ...
続きを読む »2016年6月10日 自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎
どうやら朝のコーヒー(軽食)なのだ。何とテーブルの上には、大きなスイカとかマモン(マンゴ)とか、色ずいたバナナに、自家製らしいパンが山と出してある。果物、パンはさすがブラジル、上手に出来ていた。しかし牛乳とバターは匂いが強くて、手を付けられなかった。 さて長々と日本の家族の話をして、又井出利葉さんの移民人生「喜怒哀楽談義」を夢 ...
続きを読む »2016年6月9日 自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎
太郎は「おじさんたち、井出利葉さんですか」と尋ねた。「そうじゃが何か」「ああ、良かった。僕はおじさんを探して、サンパウロから来ました。井出利葉さんは「ふうーん、こんな所に用のあるようなもんにゃ見えんが。家はそこじゃけん、一寸来なんせ」。そう言って、馬の手綱を緩めた。馬車は自分のうちへと歩き出した。 太郎は小走りで後ろをついて行 ...
続きを読む »2016年6月8日 刊行
句集『蜂鳥』330号が発行された。 「蜂鳥集」より3句、「母国語で語れば楽し雨季ごもり」(田中美智子)、「ジカ熱に五輪もかすむ国の秋」(山根敦枝)、「豊穣の朝日輝く胡椒園」(西朋子)。 エッセイには、「イグアスの滝二人旅」(平間浩二)、同じ敗戦国であるが故の感情を吐露した「ナチス将校との出会い」(笹谷蘭峯)ほか、長年求めた懐か ...
続きを読む »2016年6月8日 自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎
そして1960年、いよいよ独立の機運到来では有ったが、行方家の家庭事情、経済事情で、青年達にまで支援援助は至難である。よって「それぞれのプラン計画、望みによって、身の進路を考えてもらいたい」と行方正次郎氏ご本人から説明があり、真心籠もったお話に、今の自分の立場では、パトロンとは言えども甘えすぎと決心、この際じっくり考えようと流 ...
続きを読む »2016年6月8日 読者寄稿
珍しく早起きして、ソファで血圧を計っていると電話がなった。早朝に電話がなるのはお葬式の話と決まっているので、恐る恐る受話器を取る。「オレオレ。未だ寝てた?」アチバイアのMさんだった。 「聞いて驚くなー」人をビックリさせるあの独特の抑揚。同船者で病気の人って誰だっけ?それとも元気な人が事故か何かで? 早く教えて!向こうもじれった ...
続きを読む »2016年6月8日 読者寄稿
カルナバルが終り、その週の日曜日(2月14日)に2人でイグァスの滝を見に行くことにした。私は一度会社の旅行で行っているが、家内と一緒に行くのは今回が初めてである。旅行社は『CVC』で、全国的なネットワークを持つ格安の有名大手旅行社である。「カルナバル済て2人の旅路かな」 集合場所はフォス・ド・イグァス空港で、ガイドが待機してい ...
続きを読む »2016年6月7日 自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎
さて、千年太郎青年は、岩下ご夫妻の親愛なるご指導ご鞭撻により、岩下家の主生産品のトマテ(トマト)生産出荷に向けて、頑張って行く。五、六ヶ月はアッと言う間に過ぎた。ところがここで予想だにしなかった事態発生。早くも挫折の危機に見舞われる。九月にはいり、季節は春ながら海岸線特有の蒸し暑さが続き、トマテには大敵のべト病が蔓延。毎日、噴 ...
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