文芸
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自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎=(8)
さらに艦内放送でも「忘れ物のない様に慌てず、気を付けてゆっくりお願いします。アルゼンチン行きの方は、慌てないで自室でゆっくりお待ち下さい」と頻繁に流れていた。 それでも日本人は気が早い。昨夜から用意
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自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎=(7)
侍従長役、やおらお立ちに成り、三名の侍従を従えて、先程ご登場の方角に退散なさいます。笹山部長は、侍従長殿退出後、海魚に(扮した)役者に囲まれて船員乗客から祝福をお受けに成られる。船長代理は航海許可証
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読み聞かせ絵本が日本語に=「ワニと7わのアヒルのこ」
当地の児童向け書籍「セッテ・パチーニョス・ナ・ラゴア」が日本語訳され『ワニと7わのアヒルのこ』(3500円)として、昨年末から日本で発売されている。ワールドライブラリー発行、集英社インターナショナル
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自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎=(6)
何の呼び出しか、太郎には解からない。怪訝そうな目つきでふさぎこんでいた。太平洋上の酒盛りの一件が祟って、なんとなく不安だった。 あの酒盛り事件以後、皆の見る目が太郎には眩しく不愉快な日々を送るしか手
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自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎=(5)
誠にめでたく、神戸港より新造船「ぶらじる丸」一万五〇〇総トンの移民船は、昭和三十一年(一九五六年)十二月二日、海外移民(移住者)を乗せて神戸港から横浜港へ。ここで東日本移民組が合流。総勢一五〇〇、六
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自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎=(4)
ある早春の昼下がり。春雨に桜の花も散り、緑の若葉が清々しいある日のことであった。父と母は田んぼ、祖父母は桑畑に蚕の餌である桑の葉を採りに出かけて皆留守である。 表に自転車の音がした。郵便屋さんの様で
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05年の書籍を全面刷新=『新版 現代ブラジル事典』
ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)が先月20日、書籍『新版 現代ブラジル事典』を新評論から出版した。2005年に出した旧版を新たに更改したもの。リオ五輪によって当地への関心が高まることから、最新
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自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎=(3)
その頃、進駐軍の車は皆な「ガソリン車」で有った様だ。太郎の田舎の車は、いや、日本全国では木炭車が殆どの時代だった。将来は日本も「ガソリン車の時代」が早急に来ると信じられて居たのである。大阪に行くと言
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自伝小説=月のかけら=筑紫 橘郎=(2)
母親がめずらしく涙しながら大きくなったお腹を撫でながら、諭していたあの言葉は、太郎が生涯忘れられない「母の言葉」と成りました。「上の二人の兄ちゃんは、もう兵隊にゃいかんで良かけん、外で働いて貰う。太