作文教室「余暇」(中田みちよ主宰)による文集『余暇』第7号が発行された。 「ドミニカ移住でわかること」(鎌谷昭)「中央高原1」(栗山舎人)「ブラジルの政治談話」(空出木)「ワールドカップあれこれ」(山本紅)など生徒らによる作品のほか。
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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(25)
「山本さんが初めてアパートに来た時、アナをじっと見つめていたので、いやらしいオヤジだなと思いましたが、そんなわけがあったのです。僕の妻は今回初めて日本に来たのですと言ったら、たぶん人違いだろうと言っていました。でも、ジュリオさんの話を聞いて、もしアナの妹カロリーナが、以前日本にいた時に水商売をしていたとしたら・・・」「『エル・パ ...
続きを読む »「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(24)
「肝心のアナについての情報が、ほとんど無いですね。今までのお話を聞いても、アナがなぜ死んだのか、手がかりがつかめません」「そうなんだよ。でも、アナの母親だという女。あれはまるっきりでっち上げだということが分かったな。守屋が撮った家族写真を見せてもらった時、アナと彼女の母親があまり似てないから変だと思ったけどね」「それについては、 ...
続きを読む »『ピンドラーマ』3月号
コジロー出版社のブラジル情報誌『ピンドラーマ』3月号が発刊された。 全身缶ビールで覆われたカーニバル衣装の写真(千葉康由さん撮影)に「ジカ熱狂想曲」「ブラジル経済 2016年本格始動」、恒例のサッカー、グルメ、イベント情報も掲載。 日系書店、日本食店などで配布中。問い合わせは同出版社(11・3277・4121)まで。
続きを読む »「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(23)
「忘れていました。大ニュースです!どうも、彼女ができたみたいです」「えっ、嘘だろー!」「その彼女というのが、ブラジルと日本の混血のすごくかわいい子です。まだ10代だと思います」「日本の引きこもり男が突然ラティーノに変身か?そいつ、どうやってブラジルのガロータ(若い娘)を捕まえたのかな」「彼は、捕まえたのではなくて、捕まったのです ...
続きを読む »「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(22)
リカルドは、東京では六本木とか青山とか気取った場所しか知らないので、もっと庶民的で昔の東京を想像できるような場所に行きたいと言うので、タクシーを拾って、『新宿ゴールデン街』に案内することにした。 区役所通りから少し入り、老舗のストリップ劇場の前で車を降り、『街』の正門の向こう側に足を踏み入れたとたん、リカルドが驚いた。「これは ...
続きを読む »「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(21)
「近くにブラジルレストランがあっていいですね」 なんて言わなくてよかったと思いながら、続けて聞いてみた。「でも、彼女は、会社を辞めてどうする気だったんですかね」「きっと、週末の稼ぎだけでは足りなかったのでしょう。ブラジルの会社でOLをしているより、手っ取り早く稼げる仕事に専念した方がいいと思ったのかもしれません。日本では、若くて ...
続きを読む »「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(20)
挨拶のあとは少しばかり世間話をして、早速本題に入った。 支店長は、2001年の初めに、サンパウロ本社から研修のため来日したカロリーナ・サントスのことをよく覚えていた。「カロリーナは、美人で性格もいい子でした」「日本ではどんな生活を?」「うちは経営が楽ではないので、経費の節約のため、彼女には埼玉県の浦和にある家賃の安いアパートに ...
続きを読む »ニッケイ歌壇(507)=上妻博彦 選
サンパウロ 武地志津
息子夫婦孫ら加えて六人の家族集えり大晦日の夜
手巻寿司馳走するとて余念なく下拵えに精出す息子
高層のビルの向こうに威勢よく上がる花火を孫らと仰ぐ
ニッケイ俳壇(878)=星野瞳 選
アリアンサ 新津稚鴎
万緑に滝白刃となり落下
ダムに出て棉消毒の飛機返す
雲の峰育つ牧場を傾けて
草虱とりつつ泣いてゐるらしく
一の斧二全山の露こぼれけり
蟇鳴くや死ねば家系もなき移民