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文芸

『日本文化』を読んで=サンパウロ 村崎道徳(ブラジル日本会議 顧問)

 私は戦後70年来、この本のように教育勅語を肯定して書き進めた本を見たことがない。人の生きるべき道。人類の規範を分かり易く、多くの人の体験と意見を織り混ぜた教育勅語の真髄を見事に表現した本だ。何回も読みかえした。 そもそもこの本が外国のブラジルから出版された意義は誠に大きいと思う。何故なら、日本人は外圧に弱い。良いものは良いと外 ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(12)

 アナは定時で仕事を終えてから、正社員以外にも開放されているスポーツジムやエアロビクススタジオに寄って汗をかいた。そうした施設の中は日本人ばかりで、外人が入りにくい雰囲気だったが、アナは、持ち前の積極性と少しはできる日本語を使って、日本人社会に溶け込む努力をした。 スポーツジムでシャワーを浴びたあとは、帰り道でスーパーに寄り、リ ...

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「ポケットに辞書を」=栗原さんポ日辞典出版

小辞典の表紙

 日伯文化連盟(アリアンサ)で30年以上、日本語教師を務めた栗原章子さんが先月、『ポルトガル語日本語小辞典』を出版した。教師時代、生徒から「ポケットサイズの簡単な辞書がほしい」との要望があり、かねてから発刊を望んでいたという。 日本語学習者からよく質問された言葉や、デカセギ向けにと、日本の日常生活で使う単語など4130語を収録。 ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(11)

 店の隣には旅行代理店、道路の反対側には雑貨店やレストランがポルトガル語やスペイン語の看板を掲げて商売をしている。なるほど山本が言った通り、その街では日本語ができなくても生活できそうだ。 リカルドとアナは、それらの店で当面の生活に必要な食料品や雑貨品を買い揃え、かかった経費は後で折半した。 「電子レンジと冷蔵庫は早く買ったほうが ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(10)

「サンパウロでアナが住んでいたマンションのサーラ(居間)の方が、このアパートより広いね」 そのアパートは狭いだけではなかった。畳はささくれ立っている上に、カーテンのない窓から差し込む直射日光を受けて変色している。壁は薄汚く、台所のコンロと換気扇には油と埃がこびり付いている。玄関脇にある水垢で汚れた和式トイレで用を足せば、アパート ...

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ニッケイ歌壇(506)=上妻博彦 選

  サンジョゼドスピンニャイス  梶田 きよ本当を「ほんま」というのは京都弁ただなつかしくホンマかなこれ『談論風発』覚えし頃はうれしくてやたら使いし談論風発死ぬことに悲しみ覚えることもない年はとってものんびり作歌青天が三日も続く一月の動くともなき雲見つめおり『文春』にて色鮮やかな花街道眺めてあれば日本恋し車での花見の愉しさ見てあ ...

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ニッケイ俳壇(876)=星野瞳 選

   アリアンサ         新津 稚鴎この移住地に果つる運命の暑に耐ふる日本の夜となるを待ち初電話掛乞や仏頂面は生まれつき恐竜より進化せしこの羽抜鶏【作者は百才を迎えた。この二十三日のニッケイ紙に、寿命百才時代の生き方てふ記事があったが、稚鴎さんは俳句をひたすら作る生き方をされるであろうかと思う。第二句集を出されたばかりで ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(9)

 リカルドとアナは、日本に到着するまで隣同士に座っていたが、はたから見るとその様子は、夫婦というより、たまたま乗り合わせた男女のようだった。【第5話】 日付変更線を越え、サンパウロを出発して3日目の夕方に成田空港に着いた。 リカルドとアナの「新婚夫婦」は、外国人向けの入国審査窓口の前にできた長蛇の列の最後尾に並んだ。リカルドと同 ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(8)

 意外なことに、守屋の言葉は嘘ではなく、その女は20代半ば過ぎのラテン系の美人だった。肩まで伸びた栗色の髪、くっきりとした瞳、いつも微笑みを浮かべているような唇、外人にしては小柄で細身だが出るべきところが出た体、リカルドはその女のすべてに魅せられた。「パウリスタ(サンパウロの女の子)の魅力にはめられたんだ?」「アナは外見だけでな ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(7)

 【第4話】 最愛の両親を亡くして精神的にダメージを受けた上に、このまま商売を続けると自分の身も危ないと感じたリカルドは、祖父の代からの店をたたむ決心をした。幸い、堅実な経営をしてきたおかげで一家に借金はなく、従業員には世間の相場よりも高めの退職金を払ってやめてもらった。店舗は不動産屋を通じて設備ごと売りに出したが、不況の最中す ...

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