アリアンサ 新津 稚鴎
白き月浮べ広野は草の春
鳴きそろう夜蝉に今宵の月遅し
白蝶の黄色い卵貝割菜
牧の沼に映りて今朝のイペーの白
菜飯焚き二人の生活始めけり
2015年11月27日 俳句
2015年11月20日 俳句
【席題特選句 寿和選】
生涯の学びの場とし念腹忌 西山ひろ子
娘に添はれ空馳せて来し念腹忌 小原 加代
国貧し黄金に燃ゆる金鳳樹 西谷 律子
薩摩芋供へ床しき潔子の忌 原 はる江
八百号言祝ぐ年の念腹忌 西山ひろ子
俳諧てふ生きるともし火念腹忌 馬場 照子
歳時記は私の聖書牛童子忌 二見智佐子
初咲きのパウブラジルに畑明し 古賀マリア
せっかちな児大らかな児のシャボン玉 西川あけみ
素十師も涙す献身潔子の忌 香山 和栄
2015年11月20日 俳句
サンパウロ 近藤 玖仁子
夏衣身も心まで解き放つ
【この頃のお天気はどうであろう。ある朝は早春の様に肌寒いかと思うとひと雨の後は、むしむしとまるで真夏の午後のように暑苦しい。この句のように、夏服に着替えると身も心も軽く本当に晴れ晴れと心地良い。「夏衣」という初夏の清々しい季語のよく落ち着いた佳句であった】
2015年11月17日 読者寄稿
10月12日は聖母アパレシーダの日で、3万5千人入る大聖堂は超満員。3日間に延べ15万人がお参りしたという。県連主催の日本祭りの様な人出である。国民の大半がキリスト教徒というメキシコ人も信心深い。 グァダルッペ寺院は日曜日とあって、2万人入る新聖堂のミサは超満員。子供達に白いドレスを着せ花を持たせてお参りしている家族は、地方か ...
続きを読む »2015年11月17日 短歌
バウルー 小坂 正光
渡伯時に生れし末弟を伴いて八十五年の廃耕地訪う
コーヒーの樹海で栄えしノロ線の末弟生れし廃耕地訪う
生れ出て人生一と幕老いの坂今朝も洗顔ヒゲを剃るなり
夜半覚めて寝むれづ文を手になせば何時しか刻の過ぐるに気づく
朝毎にコーヒー呑みつつ老い妻と冗句まじりの会話を楽しむ
2015年11月17日 俳句
2015年11月10日 読者寄稿
9月に米ドルが急騰し、分割払いの旅費の支払いに窮した。諦めかけた時、長男が助けてくれた。家内や娘達からも餞別を貰った。大金を使っての旅行に気も引けたが、アエロメヒコの機上の人となると胸がワクワク。早速、座席のモニターで航空機の運行情報を見る。地図上で飛行機が刻々とメキシコに近づいてゆく。夜食後、機内の灯が消え浅い眠りについた。 ...
続きを読む »2015年11月7日 刊行
『朝蔭』10月号(第432号)が発行された。 巻頭「句帳」(念腹、その一句「虫の秋家族少なく住み馴れし」)、「雑詠 寿和選」その3句「桔梗咲き和菓子の如き蕾見ゆ」(東比呂)、「祈りつつ七夕飾りの下を行く」(赤木まさ子)、「子猫来る首の小鈴を鳴らしつつ」(菅野繁)、「香りの歴史」(吉田凛)、「コーヴァ」(西谷晃)ほか。
続きを読む »2015年11月6日 刊行
サンパウロ市在住の中島宏さんが小説『クリストレイ―約束の地―』(上・下)をこの度発表した。それぞれ423、420頁。 2011年に発行の『ブーゲンビリア』(文藝春秋企画出版部)に続く、自身2作目となる本作は、物語の中心をノロエステ線プロミッソンのコロニア最古の教会、クリストレイに据える。 全10章構成となる同作は900ページに ...
続きを読む »2015年11月5日 俳句
サンパウロ 田中美智子
惜春の一夜の夢かヴァイオリン
【週末になると娘や孫達はよくコンサートに出かける。「サラ、サンパウロ」文教の「日曜コンサート」など。音楽は本当に心癒される。作者は音楽が好きで、コーラスで歌いピアノを弾きコンサートに行って素敵な俳句を詠む。季語の「惜春」(春惜しむ)という、これほど的確な季語の選択は素晴らしい。ちょうど最近の、尽きようとする春を惜しむ想いの言葉で、暮春や行春と同じ意味であるが、春惜しむというと何となく柔らか味のある響きに聞こえて、暫くは瞑想にふける】