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文芸

いれずみ=サンパウロ 鎌谷昭

 女性が身体にいれずみを入れるようになって何年たったのだろうか。 初めてここブラジルで女性のいれずみに出会ったのは、ざっと数えても20年近く前のことだ。若い女性のマッサージ治療のあと、お灸をしておいたほうがより完全と考えて薄いシャツをたくし上げたら、背中の方にそのいれずみはあった。 男でもいれずみをするのは特別な人といわれて育っ ...

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『ピンドラーマ』=6月号

 コジロー出版社のブラジル情報誌『ピンドラーマ』6月号が発刊された。 「ブラジル面白ニュース」、サッカーコラム「クラッキ列伝」、「摩訶不思議なブラジル経済」に「ポルトガル語ワンポイントレッスン」など。グルメ情報やJBCカード優待クーポン、毎月のコーナーも掲載。 日系書店、日本食店などで配布している。問い合わせは同出版社(11・3 ...

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パナマを越えて=本間剛夫=102

 私は疲れていたので、男たちに挨拶して夫人の案内で寝室に入り、着ている服装のままベッドに横になって、小一時間も軽寝したと思ったとき、隣室の男たちの声で眼を覚まされ、起き上がって隣室に入った。 隣室の声はゲバラと彼の中学時代の友、ロベルトとの会談だった。田代夫人も同席していて「お目覚めですね」と迎えてくれ、ゲバラに向かって、「日本 ...

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パナマを越えて=本間剛夫=101

 この運動に対してアメリカは既に十余年も前からパナマを基地としてレーンジャー遊撃隊を養成していた。これは南米の国の大小を問わず、各国の青年十名ずつを選んでパナマに集めて高地、ジャングルにおける戦闘要員を訓練していることに対する反発、憎悪だった。この訓練にはレーンジャーの意味するように高所に張ったロープを伝うなどの訓練、ジャングル ...

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ガウショ物語=(32)=娘の黒髪=《7》=「ザルみたいに穴だらけ」

 ある日、農場主があし毛の駿馬をわしにくれた。ちっこいやつだったが、可愛いのなんのって。そいつに馬具を着けようとしていたとき、相変わらずぼろをまとったピクマンが現れた。「あんたにいい贈り物を持ってきた」と汚れた布を広げながら言った。「わしが編んだ物だが、黒いからそのあし毛にぴったりだ……」 そして、みごとに編まれた黒い轡と端綱を ...

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パナマを越えて=本間剛夫=100

 もし予測できたなら、なぜコロンビア、ヴェネズエラの革命派働きかけなかったのだろうかとゲバラの短慮を怒った。しかし、ペルーの同志たちは既にアンデスを越えてコチャバンバまで降りて来たことはゲバラを勇気づけるだろう。と自分を慰めた。       10 数日後、突然エスタニスラウが訪ねて来た。私はターニャの話で、この国の左翼が君たちの ...

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パナマを越えて=本間剛夫=99

 私の踊りが下手なため、終始ターニャの靴を踏んだが、ターニャは嫌なそぶりもせず私をリードした。バンドが止んで私たちは手を取り合ってソファに腰を沈めた。「タケオ、あなたダンスだめね。こんどはわたしの部屋に来ないこと?」 ターニャは意味ありげに私の顔を覗いた。 ターニャはにっこり笑って私の眼を見詰めて反応を確かめるように私の手を強く ...

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「ちばりよー・うりずん会のぐすうよー」=ブラジル連邦共和国在那覇名誉領事 西原篤一

 沖縄県は、日本列島の南西方向に位置し、日本最南端が熱帯地域との境界にあたる波照間島。最西端は国境の島として知られ、台湾に最も近い与那国島がある。また、沖縄県内の島は大小合わせて60余あり、沖縄本島、宮古島、石垣島に人口が集中している。 1879年(明治12年)の廃藩置県で、琉球國は沖縄県になり、1945年沖縄戦、1972年5月 ...

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ニッケイ俳壇(842)=星野瞳 選

『マンジョカ』はキャッサバのこと。芋はタピオカの原料。

   アリアンサ         新津 稚鴎 大王椰子銀河を浴びて身じろかず俳恩をかしこみ虚子を祀るなり移住地は山鳩鳴いて虚子祀る柵を出て仔を産む豚や竹の春麻州野の牛追ふ馬も皆肥えて    北海道・旭川市       両瀬 辰江 母と摘みし蓬の香り幼き日戦無き北の大地にリラ香る追越され又追越され春の道一斉に芽吹き出したる北の大木 ...

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ニッケイ歌壇 (490)=上妻博彦 選

ブラジルに向う際、赤道に近くなると船の中で『赤道祭』が開かれた。他にも運動会など、長い船旅の中で色々な催しが開催されていた。(写真:「在伯同胞活動実況写真集(1)」 昭和13年 竹下写真館より)

      グワルーリョス     長井エミ子 父と子の世代隔てた葛藤の部屋にひそりと一輪のバラもう先の見えているネと言う君の髭剃らぬ顔いと愛(かな)しけれもう三日君の不機嫌続きたるへのへのもへので踊りだそうか秋深し国道駆ける若者のサイクリングの背中膨らみ乾涸びた人住む国よ撒水車地球の上を駆けてくれぬか   「評」これまでずっと ...

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