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文芸

『椰子樹』364号

 『椰子樹』3月号(364号)が刊行された。 「わが愛する歌人(16)太田水穂」(菱川善夫)、「過去帳」(寺田雪恵)、「風のなか」(多田邦治)、題詠「自転車・じてんしゃ」ほか。

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パナマを越えて=本間剛夫=67

 そういってアンナはロープをつかむと驚くほどの早さで壁面を蹴るようにして崖の上に立った。(さすが!)私は一瞬飽気にとられて見上げた。見事だった。 崖の緑を巡り三角山の稜線に立つと、南東の風が西に傾きかけた太陽の熱さを和らげていた。海面に細かい線を描いて吹く風の流れは平和な世界を象徴しているようだ、戦争は終わった。これからは平穏な ...

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ピンドラーマ4月号

 コジロー出版社のブラジル情報誌『ピンドラーマ』4月号が発刊された。  「ブラジル映画を楽しもう!!」「摩訶不思議なブラジル経済」「緑の歳時記」に、サッカー、グルメ、イベント情報も掲載。 日系書店、日本食店などで配布中。問い合わせは同出版社(11・3277・4121)まで。

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『のうそん』第270号

 『のうそん』3月号が発行された。 随筆「花子とアン名言集」(鈴木八重子)、「旧師を訪ねて」(大岩和男)、「私の健康法」(増田次郎)、「男の料理米飯」(垣花八洋夫)、小説「秘密箱」(仲間マウロ)ほか。 問い合わせは日伯農村文化振興会(11・2409・1862)まで。

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『朝蔭』3月号

 『朝蔭』3月号(第425号)が発行された。 巻頭「句帳」(念腹、その一句「雉啼くや昔の人を呼ぶ如く」)、「雑詠 寿和選」その3句「耀ひて黄金藤の街並木」(中川千江子)、「子に語る我が家のルーツ春の虹」(黒沢允張)、「飯食はず呑むが何より冷奴」(三原春風)、「句評」(寿和)、「俳句」(林とみ代)、「句会便り」ほか。

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パナマを越えて=本間剛夫=66

 私は今村に、先に帰っているようにいい、中尉の後を追った。この機会を逃しては、もうチャンスはない。「中尉殿、お願いがあります」「何だ、福田か」 中尉が振り返えった。「敵逃亡兵を発見しました」「そうか見つけたか」 中尉は予期していたように静かな調子だ。「早く見つかってよかったな……。どこにいたのか」病棟の上の崖の洞窟に極めて健康状 ...

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ガウショ物語=(20)=雌馬狩り=<1>=草原のいたずら者「チビ黒牧童」

国境付近で羊放牧をするガウーショ(Foto: Claudio Fachel/Palacio Piratini)

 もしお前さんがあの頃生きていたら、わしは何もいうまい。ことさら耳新しい事などないからな。だがあんたは若い。年から言えば、わしの孫くらいなもんだ……だから、まあ、聞きなされ。 あの頃は全てが開けっぴろげで、広大な牧場が一面に広がっていたが、柵も仕切りもなくて地続きだった。それぞれの境界線は、一応分割された土地として登記所の地図に ...

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パナマを越えて=本間剛夫=65

 中尉と話す機会を何とかしてつかまなければ……。アンナのことを相談しよう。連合軍は日本をどうするのか。属領として永久植民地化するのか.それが歴史的に自然な形だろう。そんな日本にいたたまれるものではない。果たしてブラジルへかえるのか。まとまりのつかない疑問が次々と湧いた。 命令受領の時間が来て、広場にいつもの顔ぶれが集まっていた。 ...

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「ジャポネース ガランチード」=サンパウロ 駒形秀雄

 4月11日付け西銘光男さんの文章「ジャポネース ガランチード」を拝見致しました。大変立派な内容のお話しに感心し、「そうです、全くその通りです」とこの文を記します。 第一に、この言葉「ジャポネース ガランチード」が日本人を差別する言葉だということが、西銘さんの体験に基づいて明確に書いてあるということです。私も何度かこれは侮蔑語だ ...

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パナマを越えて=本間剛夫=64

 副官が低く云った。「敵兵を発見したそうだな、その状況を話せ」 命令受領のあと三角山村近から渓谷の奥を独自で捜していたことを私は告白した。上司の許可もなく、自由行動をとっていたことについてひどく責められることはないだろうという自信があった。英語のほかにスペイン語とポルトガル語を話すのは、この島で自分以外にはないのだという自信が、 ...

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