文芸

  • ガウショ物語=(4)=金三百オンス=《3・終わり》=銃を頭に当てて責任をとる

     だが、唄うなんて、あの時のわしには!…… 栗毛が大きく息をついて座りこんだ。耳を動かし、闇を嗅いでいる。浅瀬の渡りのところだ。この荒馬には場所がちゃんとわかったんだ。 チビのやつが、まるで喘息持ちみ

  • パナマを越えて=本間剛夫=38

     私はその方へ叫んだ。「願いしまあーす!」 詰所から首を出した上等兵が、私の運んできた屍を認めて跳び出して来た。 私は口早に事情を説明して、屍の安置を頼み、上等兵の霊に敬礼して奥に走った。各隊の命令受

  • パナマを越えて=本間剛夫=37

    「駈けろ!」 私は上等兵の手を把んで眼下の露出した岩盤を目がけて背を丸めて駈けはじめたが、大小の石塊に足を取られて転びそうになる。気はあせっても足が進まない。五十メートル下に電柱が立っている。すぐその

  • パナマを越えて=本間剛夫=36

     終日、地上作業で過ごす農耕班が逃げ送れて最も多くの犠牲者を出している。敵は北から来ることは殆どない。島の東部から南部にかけて聳える海抜三百メートルの三角山――兵隊たちは、そう叫んでいる――の山膚に添

  • ジョアン・グランデ(翻訳者提供)

    ガウショ物語=(3)=金三百オンス=《2》=「あそこの置き忘れた!」

     あゝ!……突然記憶がすっかりよみがえった。昼寝をしたあの場所の光景が目に浮かんだ。脱いだ服をまとめて掛けておいたサランジの枝。それから、大きな石の上に置いた幅広の革帯と、その上に載せてあったけんじゅ

  • パナマを越えて=本間剛夫=35

     護送兵にしても、少年のように小柄な(病気でなければ、美少年のはずの)初々しい仲間の哀願をふり切って去ることができないでいるのだ。私も患者の憐れな姿を見ると、隊の事情が許すならば、患者の希望をかなえて

  • パナマを越えて=本間剛夫=34

     三浦軍曹の声が止んだのは、護送兵が部隊からかき集めた煙草か甘味料をせしめたからだろう。 このような場合、私の同僚たちは何気なく座を外す。先任仕官が拒絶するのを、その部下である兵が引き受けるわけにはい

  • 伝統的なガウショの衣装(翻訳者提供)

    ガウショ物語=(2)=金三百オンス=《1》=大事な革帯がいつの間にか

    「あの頃、わしは牛追いをやっていた。ある時、三百オンスの金貨でいっぱいに膨らんだ幅広の革帯を腰に巻きつけての一人旅をしていて、ちょうどそこの渡りの辺りで一休みした。その晩、泊めてもらう予定のコロニーリ

  • パナマを越えて=本間剛夫=33

     しかし、司令部医務室には増員すべき軍医も衛生兵の余裕はない。その上、南方から患者が上陸してくる。マーシャル、カロリン群島以南の戦闘は友軍の敗北によって三カ月も前に終息しているはずだったが、不思議なこ

  • 『共生の大地 アリアンサ』の日本語の表紙

    ようやく入荷! 『共生の大地 アリアンサ』=「日本語版読みたい」の声多く=両語セットで80レアル!

     一昨年日本で出版された『共生の大地・アリアンサ~ブラジルに協同の夢を求めた日本人~』(同時代社)がニッケイ新聞社で販売中だ。50レアル。 本紙は同書ポ語版『共生の大地アリアンサ』(同時代社)のポルト

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