『朝蔭』11月号(第421号)が発行された。 巻頭「句帳」(念腹、その一句「秋鯖をすとんと切りし手早さよ」)、「雑詠 寿和選」その3句「春風に鍬音はづむ雨後の土」(小村広江)、「冷蔵庫開く度人参ねだる犬」(川上美枝)、「芝巡るキャディをケロケロ威嚇せる」(遠藤甲山)、「芭蕉塚の続編」(纐纈喜月)、「念腹俳話」(佐藤念腹)、「句 ...
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花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=70
農業を営む青年に嫁いだ花嫁のほかに、町で暮らす花嫁もこの歌のような生活からはじまった者の多いなか、小南ミヨ子著「海外に飛び立つ花嫁たち」の中の話には、いきなり成功者の妻となった花嫁のことも紹介されている。サンパウロ市で種子商を営んでいるS氏と結婚をしたS・Yさんである。取材をお願いすると、 「私にも他の人と同じように、いろいろ ...
続きを読む »花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=69
それは重なる災害で移住したことに疲れはて後悔していたのに、「ようこそ」とは言えなかったからだと後に知りました。兄に連れられ日本人宅を挨拶にまわりましたが、どの家にもマラリヤを患い黄色い顔をした人ばかりでしたから、兄嫁の気持ちはよく理解できました。その後私たち夫婦は、アマゾン河口の町ベレンから五十キロ離れたサンタ・イザベルの田舎 ...
続きを読む »花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=68
話すのみの夫の日本語筆談となりてひらがな書き始めたり 最近、Kさんの発表したこの歌の意味を電話できくと、ご主人のTさんは、親に連れられて来た子供移民で小学校の高学年で移住してきたようである。夫より学歴があり邦字誌「のうそん」に、たびたび短編小説を発表する彼女は信仰心も厚いが、ふと顔に教養のちがいを出してしまうことが、なかった ...
続きを読む »ぶらじる川柳、第64巻
『ぶらじる川柳』第64巻(第4号、通巻203号)が発行された。 「巻頭言」(荒井花生)、「弾琴集」その3句「犬と猫友情湧かずにらみ合い」(上口一歩)「ハイキング犬と歩けば仲間増え」(井上風車)「美しい目玉の兎に敵意なし」(古田満智子)、「戒老録」(曽野綾子)ほか。
続きを読む »花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=67
つづいて手紙には、 「この時、私は農場の生活を何かで残したいと邦字新聞で目にした短歌を始めたり、小南先生の研修センターの同期生が、農場に尋ねてきてくれたときに頂いた聖書を初めて読みました。カンピーナスの養鶏場に戻ってから、主人は脳溢血で不自由な体になり、私は鶏舎の仕事を手伝いながら、週一回ですが子供たちに、日本語も教えていまし ...
続きを読む »花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=66
このK・Tさんは、彼女たち花嫁移民の母と呼ばれる小南ミヨ子著「海外に飛び立つ花嫁たち」の中で紹介されている。昭和五四年七月に移住した「国際女子研修センターの第九回生」である。ブラジルへ旅立つ矢先に住所変更を知らせるK子の手紙を受け取った小南ミヨ子女史は、「K・Tさんのことが気になり、ぜひ会いたいと思って宿泊したホテルに来ていた ...
続きを読む »花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=65
訪日をしたときに「二世ですか」とよく言われる。いつのまにか、多少変った日本人になってしまったと言える。性格にもよるが大陸に四十一年住めば、人生観が太くなるのは当然に違いない。 小南ミヨ子女史の送り出した花嫁達も、「ききょう会」に参加したとき感じたように、現在の安定した生活になるまで、ほとんどが明子と同じような辛苦に耐えてその生 ...
続きを読む »花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=64
「それで、しばらく落ち着いていたんだけれど、また姑と喧嘩。また家を出て、また戻ってと彼女は大きく笑い、またお金を使うために土地を買って」 「で、その度に土地を増やしたの?」 「そうなのよ」と彼女は大笑いをし、 「でも今は、おばあちゃんには隠居してもらってね、離れて暮らすようになってからは楽になったの」一息いれてから、ふと思い出 ...
続きを読む »花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=63
サンパウロの街で、一人でも多くの美顔術のお客が欲しいと歩きつづけている頃、彼女はパラグアイの耕地で、孤軍奮戦していたことが、移住して八~九年してから分かった。彼女が、 「サンパウロ見物に来たわよ」と訪ねてきたからである。 西本願寺や東本願寺の他に、ブラジルに進出してきた新興宗教は十指に余る。その中の一つとして、我が家の裏通りに ...
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