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文芸

花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=33

 また、八〇年代半ば頃に赴任していた総領事夫人も例外ではなかった。このような人ばかりではないにしろ、昔から、こういう僭越さがどの州で働く日本の駐在員にもあり、それが日系人との仲を隔てた。これを書くために開いた本の中に、日本政府がらみのウジミナス州のある大きな事業も、「日本人駐在員の僭越な態度に優秀な二世達が耐えられず職場を出たが ...

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池坊ラ米橘支部=30周年記念誌を刊行=サライバ書店で記念会

 華道家元池坊ラ米橘支部(田中凉華支部長)が27日午後7時半から、ショッピング・パチオ・パウリスタ内のサライバ書店(Rua Treze de Maio, 1947, Bela Vista)で、支部創立30周年記念誌『IKEBANA IKENOBO ― O Caminho das Flores』(Clemente e Graman ...

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『のうそん』

 『のうそん』9月号が発行された。 旅行「『永田祭り』に招かれて」(永田美知子)、随筆「ワールドカップ惨敗記」(増田二郎)、随筆「富士を見る」(佐瀬妙子)、随筆「思い出」(井口原道子)、紹介「永六輔著『大往生』」、俳句「のうそん俳壇」(樋口玄海児)、小説「小波の彼方⑥」(松村まさゆき)、小説「白い奔流⑥」(松尾祐至)ほか。 問い ...

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花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=32

 この住み込み先のアクリマソン区から日伯文化協会へは、歩いて十五分ぐらいで行け、そこでポルトガル語科に入学するのが目的であり、ブラジル語をア、ベ、セから学びはじめることにしたのだ。 サンパウロ市内に、セー教会という百五十年をかけて建造した大きな教会がある。その前の広場がプラサ・ダ・セーで、ここに各地方への方角を示す起点がおかれて ...

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花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=31

 人に聞いて行けたとしも、おそらく降りるのは松岡宅に遠いバス停であり、そこから帰れないのではないかという心配が頭に浮かび、大きな街路樹の覆い繁った高級住宅街の夜道を歩くことを考えただけでもゾッとした。私は時代と熊五郎に教えられたバスに何とかして乗りたかった。 「この国の夜は恐ろしいのよ、日暮れに外に出ていると、夜の女と思われるよ ...

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「ふろんていら」

 詩歌サロン「ふろんていら」第39号が刊行された。俳句、川柳、短章、短歌、詩の5部構成。俳句から3句「正座して新年喪中の飯を食う」(津野丘陽)「今朝も又届かぬ新聞春寒し」(富岡絹子)「突っ張って生きる人生アマリリス」(須賀吐句志)ほか。

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花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=30

 ブラジルの下町の家々は、いまでもこのような色彩に塗られているが、それは強い太陽に嫌味なく合って、ある種のロマンさえも思わせてくれる。通りに面する窓のある部屋はサーラと呼ぶ居間であり、その奥が台所二階には二部屋と手洗いがある。ブラジルに着いていきなり高級住宅街の邸宅に居候として住み始めたこの頃の私は、これが棟割長屋の間取りである ...

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花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=29

 その程度の語学力でありながら、池之坊のバザーでバッタリ出会った熊五郎に会うために、私は街へ出ようと考えた。そうしなくては私になんの展開も訪れない、自分の前にある藪は自分で切り開かなくては進めない、と諺のとおり考えたのである。  行く先はタグア通り五十一番地。簡単なおぼえやすい通りの名でメモしなくても覚えている。何とかしてそこを ...

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刊行=『汎アマゾニア日伯協会55周年史』=堤元事務局長、渾身の一冊

堤剛太さん

 「やはり歴史はきちんと残さなければ。アマゾン地域の全ての移住地に関する詳細な移住史をー」。べレン在住の堤剛太さん(66、宮崎県出身)は、いつもの飄々とした語り口を封じ、そう力を込める。 移民85周年式典でランサメントが行われた『汎アマゾニア日伯協会創立55周年記念誌』の執筆を終えたばかり。昨年同協会の事務局長を退任した後は、東 ...

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真宗大谷派=南米開教区が記念誌刊行=60年史を日ポ両語で

 2012年に南米開教60周年を迎えた真宗大谷派南米開教区が、このほど記念誌『写真で綴る―真宗大谷派南米開教60年の歩み』(254頁、A4版)を刊行した。 1952年、宗祖親鸞聖人が顕かにした浄土真宗を伝えるべく、同派の布教・教化活動が南米でも始まった。同誌には日本移民の興りから現在に至るまでの主な出来事が、豊富な写真(セピア色 ...

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