ホーム | 文芸 (ページ 174)

文芸

花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=3

 ミヨ子女史は青年と花嫁候補に対して、終始親身であり手を抜くことはなく、どんな労をも惜しまなかったと「ききよう会報」は紹介している。 小南ミヨ子女史が亡くなってその四十九日が営まれたことは、新聞記事で後に知ったことであるが、今年二〇〇七年三月二十五日の一周忌は、その事前に知り、曹洞禅宗仏心寺へ行き参拝させてもらうことができた。日 ...

続きを読む »

花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=2

 小南ミヨ子女史をいまも先生と慕い、遺影に手を合わせている写真には、六十歳半ばから七十歳ぐらいの女性ばかりが映っている。これがブラジル青年移民へ花嫁として送り出された人達の現在の姿である。 この花嫁達には「ブラジルききょう会」という会があり、会長の大島順子は六十三歳で神奈川県出身、現在はミナス州カンブイに在住している。「ききょう ...

続きを読む »

花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=1

 プロローグ 「花嫁移民」―こう言うだけで、「エッ」と誰でもが目を大きく開き、先行く人は振かえって見る。それは特殊な人生を歩いている女性を想像させるに充分な言葉だからであろう。祖国日本のみならず、このブラジルおいても同胞が同じ反応を示すので、私たち花嫁移民は自ら口に出すことはめったない言葉である。 一九九九年NHK短歌全国大会に ...

続きを読む »

野村流音楽協会=60周年記念誌を刊行=「今までで最高の一冊」

 沖縄の古典音楽の継承・普及を図る野村流音楽協会ブラジル支部(知念直義支部長)が、このほど6冊目の記念誌となる『創立60周年記念誌』(A4版、60頁、日ポ両語)を刊行した。 1923年に創立した同流派は、沖縄県内に40余支部3千余人、ハワイ、北南米の各支部をあわせると5千人以上の会員を擁する。1954年、当時の協会会長・池宮喜輝 ...

続きを読む »

『ブラジル日系文学』

 『ブラジル日系文学』第47号が発行された。 特集「ドミニカ移住の半世紀 いったい私たちは、どこから来て、どこへ行くのか」第31回武本文学賞ポ語コント部門入選作品「斎場にて」(マウロ・マルチニアノ・デ・オリベイラ)「ブラジル政治談議④メンサロン」(空出木)「翻訳の舞台裏⑦ 翻訳者」(小高利根子)、詩歌、絵手紙、一口エッセイほか。

続きを読む »

伝説の柔道家『コンデ・コマ物語』=青森県人会で取扱中

本の表紙

 今月24日に創立60周年式典を控える青森県人会(玉城道子会長)が、昨年6月日本で出版された『コンデ・コマ物語―「柔道世界制覇」と「アマゾン開拓」』(三戸建次著、路上社)を75レアルで販売している。 同県人会の節目を祝して、著者の三戸氏が100冊寄贈した。同県出身の伝説的柔道家であり〃アマゾン開拓の父〃とされる、「コンデ・コマ」 ...

続きを読む »

連載小説=子供移民の半生記=家族みんなで分かちあった=異郷の地での苦しみと喜び=中野文雄=45

 さあ大変。佛教会の会場を整える準備が始まった。戦時中、使用禁止されていただけ埃がひどかったが、一言も不平を言わず、黙々と働いてくれたそうだ。皆家では息子や娘に指図しながら、自分は動きもしないだろうという中老過ぎの者たちだったが、佛様をお仰ぎできる嬉しさに、脇目もふらず、三日がかりの腰弁当で見違えるように場所を整え、床もピカピカ ...

続きを読む »

連載小説=子供移民の半生記=家族みんなで分かちあった=異郷の地での苦しみと喜び=中野文雄=44

 商売に関しては、こちらは素人で何も知らず、非常に助かった。土地の売買は、地権書と抵当になっているかを調べるだけで済んだが、商売の複雑さを改めて痛感した。やっとの思いで開店になったのが、商談を始めてから15日後の事だった。 人として生まれて28年の歳月が過ぎ、今までの15年間余りを鍬に親しんで一生鍬の道を歩んでいくつもりでいたの ...

続きを読む »

連載小説=子供移民の半生記=家族みんなで分かちあった=異郷の地での苦しみと喜び=中野文雄=43

 もし店を買ったとしたら、兄弟4人と今の店員2人で当分はやっていけそうだ。山口さんの熱心な記帳には圧倒された。閉店間際になっても終えず、残りは明日に回すようになった。そこで近付きのための一夕として、商談が纏ります様にとセーミの奢りで御馳走になったが、こっちは田舎者。メーザの上に並べられた1ダースのビールを見てびっくり。 田舎の家 ...

続きを読む »

連載小説=子供移民の半生記=家族みんなで分かちあった=異郷の地での苦しみと喜び=中野文雄=42

 しかし、外の人もやっていることだし、自分たちにも出来ぬはずはない。いかなる商売にしろ、人様に劣るはずはないとの自負はあった。 「バールをやったら。今売り物になっているし、素人にだってすぐできる」。そう盛んに進める人もいたが、「ピンガを喰らってぐずる男達」の相手をする気はない。それに商そのものが小さく、家みたいな大家族を養うには ...

続きを読む »