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文芸

連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(148)

《早速、中嶋和尚をここに呼び寄せますから、『南~無、阿~弥、陀仏~、南~無、阿~弥、陀仏~、・・・、なー、かー、じー、まー、おー、しょ~うを、こー、こー、へー、・・・』》と村山羅衆は唱えながら、傍観している小川羅衆を睨んだ。 《?!》 やっと村山羅衆の意図に気付いた小川羅衆は、まず、ジョージの車にあったパンフレットに記されたジョ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(147)

小川羅衆はポケットから呼子を出し、霊笛を鳴らした。 《『ひゅ~、ひゅう~う』》、妖怪のチンピラ達はその背筋が寒くなる笛の音に耐えきれず悲鳴を上げて逃げ出した。五越商店の奥から拘束された腕と肩の凝りを解しながら村山羅衆が出てきた。 《先輩、日本の妖怪がどうしてブロジルに?》 《森口に寄生して来たのであろう。悪を餌に繁殖するが、神道 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(146)

助手席のアレマンと重なって見える村山羅衆が、 《森口の車に飛び乗った小川との連絡が不通だ》 「混信だ。この通りには多くの低いテレビ塔が大電力送信をして、瞳が乾くくらい強い電磁波が飛びかっている。パトカーの無線もお手あげなんだ」 《これは酷い! 仏界の神技通信も出来ぬ状態だ》 ジョージは森口の車を追って右折してコンソラソン通りを五 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(145)

小川羅衆より百年以上ベテランの村山羅衆が、 《これは、めったにない霊象で、ジョージ殿の脳波と我々の霊波が合ったのであろう。昔は大きなズレでも調整出来たが、今の俗界にはロジオ、テロビ、最近になって携帯通話器なる厄介な物が氾濫し、いろんな波が飛び交い、霊波と混信しおって、それに、下手に調整しようとすれば薄類野愚裸火(ポルノグラヒー) ...

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刊行物=楽書倶楽部22号

ニッケイ新聞 2014年4月26日  随筆集「楽書倶楽部」第22号が日毎叢書企画出版から発行された。  「好きな作家」(谷口範之)「八十二歳何をか言わん」(諏訪とみ)「パタゴニアの冬」(寺田雪恵)「断食療法」(貝田定夫)「積荷ドロボー」(小栗巌)「移民の子」(有澤真理子)など37作品の他、一口雑学、シルバー川柳、健康の知恵など。 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(144)

ニッケイ新聞 2014年4月26日 「獣ならどう行動するか考えていると、俺の瞼に手を振るお前が映た」 《幸運な再会だった》 「さて、森口を捕えに・・・」 再来週までこの世に留まる事になった小川羅衆とジョージは、新米刑事達を従え、森口が潜んでいる一番奥の個室に向かった。鍵が壊れたその個室の前に落着かない中年の男がいた。それを見た小 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(143)

ニッケイ新聞 2014年4月25日  ジョージは愛撫と同時に女のドレスを巧みに剥いだ。 「小川羅衆からお先に」 《てめーから? あっしは幽霊だ、如何しようもねーじゃねーか》 「俺に呪い移ればいい」 《そう云う手が、こんな事、二百年ぶりでー》と言って小川羅衆はジョージに呪い移った。 それと同時に、ジョージの男性が大きく撥ねた。 女 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(142)

ニッケイ新聞 2014年4月24日 「もう少しこの世で手伝っていけば?」 小川羅衆はもったいぶった顔で、 《俗人がそこまで助けを乞うんなら、もう少しいてやってもいいが・・・》 そこに、アレマンが女と現れた。 「(ウエムラ刑事、奥の東洋人、逃げないでしょうか?)」 「(監視は続けているんだろうな?君達が・・・)」 アレマンは女を引 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(141)

ニッケイ新聞 2014年4月23日  廊下は明るくも暗くもなく調整され、高級ホテルのロビーを感じさせた。広い廊下を五メートル奥に進み右に折れると、上品な調度品に飾られた大きなバーと云うより高級キャバレーが現れ、胸を躍らせる雰囲気に変わった。 第二十七章 羅衆(らしゅう)  早速、黒人が便宜を図った女を片腕で包んだ新米刑事達と離れ ...

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刊行物=あらくさ短歌会歌集

ニッケイ新聞 2014年4月18日  あらくさ短歌会の合同歌集第9号が出版された。巻頭歌(金谷はるみ選)から2句。「赤道を越えて幾日夜如に高くなりしよ南十字星」(岩波菊治)、「足元にとぐろを巻ける毒蛇を殺して今日も原始林を伐る」(酒井繁一)。全73頁。

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