ニッケイ新聞 2014年3月28日 二十分後、ジョージが戻ってきた。 「思った通り、奴は観光ビザで、すでに二ヶ月以上の不法滞在だ」 「それで彼を留置所にブチ込めますか?」 「検事次第だ。友人のアレイショスに電話しよう」 「アマゾンの? あの凄くウンの強い副司令官ですね」 「中嶋さん、その方を知っているのですか?」 「ええ、トメア ...
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(127)
ニッケイ新聞 2014年3月27日 取材に満足しペンを納めながら古川記者が、 「それで、森口をどうやって逮捕すれば」 黙って話を聞いていたジョージが、 「それにはまず理由がいる」 「理由?」 「逮捕や裁判する理由だ、それをなんとかしなくては・・・」 「ジョージ、でっち上げはダメだぞ」 「いやー、まさに、それを考えていたところなん ...
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ニッケイ新聞 2014年3月26日 「ジョージ、身体の調子は?」 「この通り、アザが残っただけだ」 「良かったですね早く治って・・・」中嶋和尚はそう言いながら昨夜作った『聖正堂阿弥陀尼院』のお位牌を広い会議机の真ん中に置いた。 「早速だが、これから田口さんの願いをどう解決するか検討しましょう。中嶋和尚なにか?」 「彼女は『地蔵』 ...
続きを読む »月刊誌『潮』=SGI南米布教連載5月に=貴重な笠戸丸移民対談記録
ニッケイ新聞 2014年3月25日 「総合月刊誌『潮』で掲載中の、創価学会インターナショナル(SGI)の池田大作会長の軌跡を追う連載「民衆こそ王者」の5月号から中南米・ブラジル編が始まり、その中で池田大作先生と児玉さんの対談の話も振りかえられる予定です」。ブラジル創価学会の高坂ジュリオ理事長(67、二世)はそう語りながら、池田会 ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(123)
ニッケイ新聞 2014年3月25日 「(どうしてだ?)」 「(説明するから銃口を俺から外してくれないか)」 「(説明!?)」 「(俺の名は古川。君は?)」 「(パウロだ。早く説明しろ)」 古川記者は『般若心経』を心に、 「(私がパウロにお金を貸せばいい)」 「(お前が俺に金を貸す?)」 「(そう、そうすればパウロは強盗ではなく、 ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(122)
ニッケイ新聞 2014年3月22日 あくる日、居酒屋『桃太郎』やレストラン『ポルケ・シン』に近いバンデイランテス病院の救急治療室のベッドに強い痛み止めの薬で意識朦朧のジョージが見知らぬ『観音』さまに見守られ横たわっていた。 「(大丈夫ですか?先生)」 「(胃袋の静脈が寸断されて重傷の内出血だった。輸血の後、手術の手配をしたのだが ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(121)
ニッケイ新聞 2014年3月21日 「ダメです。森口氏を裁くのに不法な手段を用いると、彼女が冥界に呼び戻され、逆に彼女は『閻魔』さまから再審に差し戻されてしまいます」 「? 何の事だかサッパリ・・・」 「殺された彼女が幽霊になってしまうのです。信じて下さい」 「ボーズさんが言うのであれば信じるが、?~」 「ジョージ、森口は毎晩こ ...
続きを読む »刊行物『朝蔭』2月号
ニッケイ新聞 2014年3月21日 『朝蔭』2月号(第784号)が発行された。 巻頭「句帳」(念腹、その一句「馬の背をすべって草の蛍飛ぶ」)、雑詠(寿和選、その3句「猫来ると金魚番せる子が眠り」(畠山てるえ)、「大河とて苦労あらふに鰯雲」(東比呂)、「ぼうふらの唐脱ぐ様を撮るビデオ」(宮崎北眠))、「アパートと洗濯機」(秋村 ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(120)
ニッケイ新聞 2014年3月20日 『その被害者の名前は『田口聖子』、年令二十八歳、独身、東京都八王子市出身、職業は新聞記者、南伝仏宗(架空)の解散の取材中に森口氏から性的暴力を受け、入院、起訴しようとした彼女が院内感染で死亡した事で不起訴になったようです。これまでの捜査では、森口はニューヨークへ国際布教の名目で宗教家と偽って飛 ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(119)
ニッケイ新聞 2014年3月19日 「古川さん、ご苦労でした。彼女の情報が充分取れましたね」 「・・・」 「古川さん、霊気をがっちりキャッチして、よくここまで・・・。大成功でした。それも成仏前の霊気をがっちりと・・・」 「霊気なんかじゃなくて『聖正堂阿弥陀尼院』さんそのものでしたよ」 「黒澤和尚も、密教でここまで鮮明に霊気を捉え ...
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