ニッケイ新聞 2013年10月18日 「そうなんですか」 「それで、これから中嶋さんをどうすればいいか・・・」 「残念でしたね。せっかくブラジルまで来られたのに・・・、それで、中嶋さんはいつ日本へ戻られるのですか?」西谷はそれが当然だと云う顔で言った。 中嶋は突然両手を合わせ一般的な経文を読誦(どくじゅ=そらで読む)し始めた。 ...
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刊行物『椰子樹』
ニッケイ新聞 2013年10月17日 椰子樹9月号(358号)が刊行された。 「わが愛する歌人 岡本かの子」(北沢郁子)、「ゲスト講演」(永江ネイデ)、「第10回海外日系文芸祭・結果」、「第65回全伯短歌大会・結果」、題詠「夜道・よみち 多田邦治選」ほか。
続きを読む »刊行物『楽書倶楽部』
ニッケイ新聞 2013年10月17日 随筆集『楽書倶楽部』第20号が刊行された。 「改革と抵抗勢力」(中村勉)、「絵画の道」(菅沼東洋司)、「隆夫君との再会」(梅崎嘉明)、「山縣勇三郎」(荒木昭次郎)ほか。 問合せは日毎叢書企画出版(11・3209・4954)まで。
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(25)
ニッケイ新聞 2013年10月17日 宿利は驚いた顔で、 「伝道和尚はとっくに日本へ帰っておられますよ」又、ノートを確認しながら、「一九九〇年には日本で洞山寺(架空の寺)の住職になられて・・・」顔をしかめ、首を捻って「もう他界されておられますね・・・」 その最後の言葉にジョージは宿利和尚以上に顔をしかめ、 「えっ! 日本で亡 ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(24)
ニッケイ新聞 2013年10月16日 ひと摘みしたジョージが、 「この材料は?」 「冷蔵庫にありました」 「えっ、本当ですか。料理上手の女にふられてから、ずっと買って無いので」 「そうでしたか、だからほとんどが期限切れでした。ですが、もったいないと思い、充分吟味してから使いましたのでご心配なく」 「料理、おじょーずですね」 「 ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(23)
ニッケイ新聞 2013年10月15日 午前中に仕事を終わらせ、後を頼りのカヨ子さんに任せ、ジョージは余りにも無責任と云うか、無謀な中嶋に怒りをおぼえアパートに戻った。 「朝のコーヒーまで用意していただいき恐縮です」 「おっ、アパートがきれいになって、中嶋さんが!?」 ジョージは、見違えるようにピッカピカに掃除されたアパートを ...
続きを読む »ふろんていら、38号
ニッケイ新聞 2013年10月12日 詩歌サロン「ふろんていら」第38号が刊行された。俳句、川柳、短章、短歌、詩の5部構成。 俳句から3句「四人目の孫生る春を待たず逝き」(富岡絹子)、「言い訳はことにさらりとシャボン玉」(清本美恵)、「コーヒーの花の明りの炎えんとす」(伊那宏)。全27頁。 問い合わせは番号(11・4715 ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(22)
ニッケイ新聞 2013年10月12日 ジョージが事務所に着くと、彼宛の伝言があった。 『(ローランジアのイシズカさんとれんらくがとれました。TEL:三七五四、六○六一のニシタニにレンラクしてください)』カヨ子 早速、ジョージは電話した。 「西谷副会長さんお願いします。ジョージと申します」 【少々お待ち下さい】 待構えていた様に ...
続きを読む »刊行『ピンドラーマ』
ニッケイ新聞 2013年10月11日 月刊情報誌『ピンドラーマ』10月号が刊行された。「世界一美しい川ビーチ、アルテール・ド・ション」「ブラジル映画を楽しもう」「改善中? サンパウロの通勤地獄」ほか、サッカー、音楽、グルメ、経済など毎月のコーナーも。 日系みやげ物店、日本食店などで無料配布中。問い合わせはコジロー出版(11・ ...
続きを読む »連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(21)
ニッケイ新聞 2013年10月11日 中嶋は開かれたドアの中に早朝の薄明かりに白く輝く『色白にして法衣を付けずして天衣をまとい十五のむすめの如く』と『大吉祥天女念誦(ねんじゅ)法』に記される『吉祥天』の化身を見た。その化身はドアを閉めると真直ぐ幸せホルモンで満たされた中嶋のベッドに入って来た。 「(まあ、頼もしい〜)」そう言っ ...
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