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文芸

連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(20)

ニッケイ新聞 2013年10月10日 「(誰もいないと言っただろう!)」 部屋でグッスリ眠っている中嶋の他に誰もいないと分って急に優しくなった女にジョージは後ろから襲うようにドレスをまくった。 女は直ぐに息を荒くして、 「(どうして、最初から素直に・・・、入れて・・・、くれなかったの?)」 「(こうなるからさ)」そう言いながら、 ...

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刊行物『朝陰』

ニッケイ新聞 2013年10月9日  句集『朝蔭』9月号(第407号)が刊行された。  「雑詠 寿和選」から3句「三陸の牡蠣はネットで売り捌き」(西谷晃)、「手仕事し時の無駄なく日向ぼこ」(不破吏子)、「羅や雪国へ発つ観光団」(山下差智子)など。各句会便り、「黒人嫁」(堀石凡生)、「千曲川」(青木駿浪)ほか。

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(19)=第三章 煩悩

ニッケイ新聞 2013年10月9日  それからしばらくして、 『ピーン、   ポーン』チャイムが鳴った。  中嶋が眠った後、シャワーを浴び、久しぶりにひいきチームのサッカー中継を見ながらウィスキーグラスを傾けていたジョージは、チャイムの鳴りようで誰であるかを察し、苦虫を噛んだような顔で、ドアに向かった。 ドア越しに、 「エ、ボッ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(18)

ニッケイ新聞 2013年10月8日  食事が終わって、ブラジル式の濃いコーヒーをいれながら、 「なんの下調べもせずブラジルに乗り込んで来るなんて、正直言って中嶋さんは無謀ですよ」 「実は私も、ブラジルの空港に着いてそう思いました」 「えっ! 空港に着いてですか・・・!」ジョージは呆れて一瞬言葉を失った。 「中嶋さんは観光ビザです ...

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「のうそん」第261号発行

ニッケイ新聞 2013年10月4日  「のうそん」第261号(2013年9月号)が発行された。内容は、随筆「思い出」(井口原道子)、同「我が家の犬」(国吉真一)、同「私の楽団時代と古賀メロデイ」(伊藤久年)、講座「農業ミニ講座」(続木善夫)、俳句「のうそん俳壇」(樋口玄海児)、健康「生と死の狭間で」(大岩和男)など。2千字以内で ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(17)

ニッケイ新聞 2013年10月4日  中嶋は、まずスープから有り難くいただいた。温かいスープに『観音』さまを感じ、スープは喉から食道を温め、余りにも空腹で痛かった胃を治め、そして、非常事態だった身体の隅々まで安堵の通達を出させた。  この一さじの『観音』とんこつスープで、中嶋は、親鸞が起した『浄土真宗』の本尊にも採用された『西方 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(16)

ニッケイ新聞 2013年10月3日 「今、自分は冷たくないと言ったじゃない!」 【そう云う問題ではなく、もう料理人も着替えて、厨房から出ました】 「じゃー、前田さんが、もし何か作ろうとすれば、なにが出来る?」 【ラーメンだったらー、たぶん作れると思いますがねー】 「そぉ〜! ラーメン! それでいいわ。二つお願い」 【えっ!もう、 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(15)=第二章 浄土

ニッケイ新聞 2013年10月2日  事務所に戻ったジョージは、早速、電話で聖心寺の宿利晃天和尚と明日の午後の約束を取った。  気の強いカヨ子さんが珍しく弱った顔で、ジョージの前に来て、 「(あの〜、会議室のおボーさん大丈夫かしら、まだ眠っているわよ)」 「(そのまま寝かせておいた方が・・・。だいぶ疲れているようだし)」 「(で ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(14)

ニッケイ新聞 2013年10月1日  ゆるい坂道を十メートルくらい下ると門が目の前に現れた。寺の門構はなく、灰色のペンキで塗られた七、八メートル幅の観音開きの大きな鉄製の門があり、その扉を支える石柱に『浄土真宗本派本願寺南米教団』左側の石柱には『西本願寺』と力強い墨字で記された大きな表札が掛かっていた。開いたままの門を入り、日本 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(8)

ニッケイ新聞 2013年9月21日 「ジョージさん、このPEはなんの意味でしょうか?」 「これ、よく見るとPEではなくPRですよ。パラナ州の略号です」 「州を表すのですか」 「ローランジア市はパラナ州のどの辺かなー?」ジョージは、ブラジル全土の業務用地図を持ち出し、会議用の大きな机に広げ、指で指しながら、 「ここが、俺達がいるサ ...

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