ニッケイ新聞 2013年5月14日 『ぶらじる川柳』第63巻(第2号、通巻197号)が発行された。 巻頭言(荒井花生)、弾琴集(その中から3句「良い子供居れば身のため国のため」(大矢のぶ子)、「金婚を過ぎて安らぐ都市住まい」(堀内のぼる)、「満員の札下がっている老人ホーム」(那須アリセ))、随想「子の年 親の年」(中山哲弥) ...
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第73回
ニッケイ新聞 2013年5月14日 川添はブラジルが無限の可能性を秘めた国であることを強調した。児玉は川添の説明を丹念にメモしながら聞いた。三十分ほど川添の講義を聞いた後、児玉は広報課を出た。階段を降りたところで児玉はマリーナに会った。彼女も児玉に気づいたらしく挨拶してきた。 「ボンジア」 「マリーナは組合で働いているの」 「 ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第72回
ニッケイ新聞 2013年5月11日 日系人が多く加盟している農業組合はコチア産業組合で、コチアには日系人に限らず一般のブラジル人も会員になり、ブラジル最大の農業組合に成長した。もう一つは南伯農業組合で、この組合はサンパウロ州、パラナ州の日系人会員が多かった。 南伯農業組合は児玉が住むトレメ・トレメの目と鼻の先にある。トレメ・ ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第71回
ニッケイ新聞 2013年5月10日 そのアミノ布団店の入口横にある螺旋階段を上がった二階に受付があった。学校の名前はエスコーラ(学校)・デ・ソロバンで、フロアをいくつかに区切り教室として使っているのか、講義する声が聞こえてきた。昼間は算盤を習いにくる二世、三世の子供たちで教室は埋まるが、夜間は日本語を学ぶ日系人や児玉のような新 ...
続きを読む »刊行物『朝蔭』
ニッケイ新聞 2013年5月9日 俳句誌『朝蔭』4月号(第402号)が刊行された。 「雑詠 寿和選」から3句「ベージャフロールいつも定時に花石榴」(大沢晴子)「マモン漬今も移民の語り草」(小原安雄)「今日も又街の渋滞大雷雨」(村上士郎)、「とちひのうたⅡ」(みやおか秀)、「ミクロカメラ」(藤本千秋)ほか。
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第70回
ニッケイ新聞 2013年5月9日 「それがどうだっていうんだ。何年付き合っていても信頼関係が結べないことだってあるんだ。付き合った年数なんか問題じゃない」 「本気なの」 「こんなこと冗談で言えるか」怒った口調で小宮が言い返した。 「だって私たちまだ知り合ったばかりよ」 叫子は涙声になっていた。叫子は結婚には絶望的になっていた。 ...
続きを読む »出版『弓場勇の生涯』を刊行=『子供移民・大浦文雄』ポ語版もあわせ=11日
ニッケイ新聞 2013年5月8日 『弓場勇の生涯』および『子供移民・大浦文雄』ポ語版の出版記念パーティーが11日正午から、スザノ福博村の大浦農園(Estrada Oura, 1310, Vila Ipelandia)で開催される。入場無料。 1926年に一家で渡伯し、ブラジル版〃新しき村〃「弓場農場」を開設した弓場勇の生涯を ...
続きを読む »刊行物『楽書倶楽部』
ニッケイ新聞 2013年5月8日 随筆集「楽書倶楽部」創刊3周年記念号が、日毎叢書企画出版から発行された。 「汚職」(中村勀)「余生の輪」(塩見岳人)「サンパウロ市設立記念日に想う」(宮村秀光)「プラトニック・ラブ」(梅崎嘉明)ほか。
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第69回
ニッケイ新聞 2013年5月8日 叫子がソファを立とうとした。小宮はそんな叫子の腕を取って引き止めた。その弾みで叫子がソファに転げるように倒れかかった。小宮はそのまま叫子を抱き受け止めた。叫子が小宮の顔を見つめた。 「帰るな」 小宮が強い口調で言うと叫子は黙ったままうなずき目を閉じた。叫子を強く抱き締めて唇を重ねた。小宮は彼 ...
続きを読む »連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第68回
ニッケイ新聞 2013年5月7日 「わかった、と言ってもそんなに大したものは作れないからあまり期待しないでね。作っている間にシャワーでも浴びてきたら」 「そうさせてもらう」 小宮はバスルームに入って熱いシャワーを浴びた。タバコの煙が染み込んだ髪をシャンプーで洗い流し、あぶらぎった顔を何度も洗った。心地好い疲労感が体全体に広がる ...
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