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文芸

刊行物『蜂鳥』

ニッケイ新聞 2013年3月6日  『蜂鳥』第24巻第311号が刊行された。  「蜂鳥集」より3句「匂ひくる夜干しの梅のほのかにも」(串間いつえ)「葉ボタンや母の背丈のちぢみをり」(近藤玖仁子)「初旅やマ州入日の茜濃し」(大原サチ)、「伝承俳句の継承」「アマゾン便り」(大槻京子)、「添削コーナー」(広田ユキ)、ほか。

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第26回

ニッケイ新聞 2013年3月5日  小宮が佐織を食事に誘う時も、「近いうちに食事を一緒にしていただけませんか」と、ただ用件を伝えるだけで、ぶっきらぼうな感じさえした。しかし、寡黙な父親を見て育った佐織にはそれがかえって彼の誠実さのように思えた。  最初のデートも映画を見た後、ドライブインで食事をし、深夜の首都高速をドライブして帰 ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第25回

ニッケイ新聞 2013年3月2日  佐織の実家は代々農家で、広大な土地を所有していた。牧畜をやるほどの広さはないにしても、野菜を中心に生産する近郊農業を営むには十分だった。農家を継ぐ者が減少しているなかで、佐織の両親も長男の一敏が農家を継ぐのかどうかを心配していた。しかし、長男は東京の大学の農学部を卒業し、家業を継いだ。野菜を東 ...

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ピンドラーマ、2月号

ニッケイ新聞 2013年3月1日  コジロー出版社の情報誌『ピンドラーマ』2月号が発刊された。  「ブラジル版百人一語」では、社会学者でUSPの教授も務めた鈴木悌一を紹介。サッカー、映画、経済、グルメ情報など毎月のコーナーも。  問い合わせは同出版社(11・3277・4121)まで。

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第24回

ニッケイ新聞 2013年3月1日  ホンダはアマゾン中流の都市マナウスに築いた現地工場で二輪車の生産を開始、リオやサンパウロの大都市に出回ったオートバイの整備、修理の技術者が不足していた。小宮は日本で一級整備士の資格を持ち、高給で採用された。アクリマソン区は近くに緑あふれる公園がある閑静な住宅街だ。東洋人街には日系の移民が多かっ ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第23回

ニッケイ新聞 2013年2月28日  彼女は百クルゼイロ札を二枚だけ取り出して、残りは封筒のままブラジャーの中に挟み込んだ。 「ちょっと待ってて」  テレーザはフロアで踊っている女性の一人を、大声で呼んだ。 「ソニア、ここへ来て」  その女性も白人だった。髪は金髪というよりも赤茶けた色をしていた。その髪を後ろで束ね、ポニーテール ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第22回

ニッケイ新聞 2013年2月27日  日本から持って来たカメラは三台ほどあった。ドルが完全に底を着くと、児玉はまず一台目のカメラを売った。久し振りに懐に金を入れて、ミッシェルに顔を出した。テレーザはまだ来ていなかった。  児玉はテーブルに着くと、踊っている女性をぼんやりと眺めていた。一人で飲むのはやはり退屈だった。彼はテレーザを ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第21回

ニッケイ新聞 2013年2月26日  児玉はテレーザが本気で言っているとは思っていなかった。 「ああ」 「コダマなら、そう言ってくれると思った」  翌朝、トニーニョが寝室に入ってきた。二人はまだベッドの中でまどろんでいた。テレーザは児玉の腕の中で抱かれるように寝ていた。 「ママ、だれ、その人」 「ボンジア(おはよう)。この人はマ ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第20回

ニッケイ新聞 2013年2月23日 「コダマ、ノン・テン・トロッコ(お釣りがないよ)」 「ノン・プレシーザ(必要ない)」辞書を引きながら児玉が答えた。  サンパウロに来てから間もない児玉には物価の感覚がまだわからなかった。パウリスタ新聞から受けとる月給は約四十ドルだった。それでもサンパウロ州法で定められた最低給料の三倍はあった。 ...

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刊行物『朝蔭』

ニッケイ新聞 2013年2月23日  『朝蔭』2月号(第400号)が刊行された。  「雑詠 寿和選」から3句「字の太き暦が欲しき十二月」(梶本つるえ)「演ずるも観るも異人や夏芝居」(宍戸裕雄)「下駄履いて日本男子カルナバル」(東比呂)、「句会便り」「ブラジル俳誌朝蔭四百号記念 祝句」「移民妻」(香山和栄)「一粒の小豆」(田端萬里 ...

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