文芸
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中島宏著『クリスト・レイ』第29話
「その辺に、クリスト・レイ教会の持つ特殊性があるの。 確かに、イエズス会に繋がったカトリックの教会には違いないけど、はっきりいって私たちの教会は、その歴史的な背景が特別のものを持っているから、こちら
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中島宏著『クリスト・レイ』第28話
「面白いのはね、アヤ、今こうしてあなたのような日本人と話していますが、これも僕が日本語を覚えようとしたことから始まっていったことであって、もし、そういう機会がなかったら、今でも僕はあなたたち日本人を、
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中島宏著『クリスト・レイ』第27話
雲ひとつない青空は、まさに秋晴れであり、透明度の高い澄み切った空気は、遥かに高い天空にまでゆっくり上昇していくような雰囲気を持っていた。陽射しは結構強いが、適度に涼しげな風が吹き抜けていくため、ほと
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中島宏著『クリスト・レイ』第26話
ただそれは、この時代よりも、もう少し遡った頃の話で、開拓されて間もない頃の、いわば最盛期ともいえる時代のことであった。月日の移ろいと共にその後、土地の疲弊が強まっていくにつれて、この地方の農業の勢い
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中島宏著『クリスト・レイ』第25話
なぜ、そのようなことが可能になったのか。そこにまた、新しい疑問がわいてくる。彼は、特に宗教に興味を持って、それを探求するというようなタイプではないが、しかし、このように日本とキリスト教との関わりを聞
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中島宏著『クリスト・レイ』第24話
「ところでね、アヤ、今までのあなたの説明が本当に僕に分かったのかどうかということですが、つまり、ここに移民してきた人たちというのは、日本では珍しいキリスト教信者のグループということですね。そういう人た
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中島宏著『クリスト・レイ』第23話
「だからね、言ってみればここに移民としてやって来た人たちは、みんな同じ宗教を持っているし、みんな親戚というか、家族みたいなものなの。たまたま、その家族全部が、キリスト教のカトリック信者だったということ
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中島宏著『クリスト・レイ』第22話
「そうね、その通りよ。私もずっと、もの心ついたときから、いや、それ以前からもうキリスト教信者だったわね。私の家は代々みんなそうだったし、私が生まれた町や地方でも、ほとんどがそうだったわ」 「ということ
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中島宏著『クリスト・レイ』第21話
「ところで教会の話ですけど、いったいこれは、どういう教会なのですか。町にあるキリスト教の普通のカトリックの教会とは大分違うと思いますが」 「そうそう、その話を今日はするはずだったわね。話が横道に逸れて
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中島宏著『クリスト・レイ』第20話
「ということは、アヤにも、友だちのような喋り方でいいということですか。うん、それだったら分かります。でも僕の場合は、日本語でその、友だちと話すような話し方を知らないのです。今まで、丁寧な話し方しか勉強