文芸
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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(197)
結局、正輝はセーキの進学をあきらめるほかなかった、息子は働き者だった。小鳥を観察したり、捕まえたりするのが目的かもしれないが、とにかく朝早く起きる。与えられた仕事はかならずやりとげる。農作業はだれよ
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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(196)
ところが母親が怒り出した。彼女は精神の病があるようだ。ときどき、子どもの服を取り替えるのを忘れる。正輝の子どもたちはこの女に気をつけていた。別に周りの人に危害を加える訳ではないが、変な行動に出たり、
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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(195)
「おまえたちより兄さんだ」といっても、だれもそう扱ってくれず、腹を立てた。たしかに兄さんには違いないが、この家では通用しなかった。たった一人だけ、長男が特別扱いを受けたのだ。アキミツの不満は下の兄弟
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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(194)
アンジェリーナ夫人の家の時間のかかる配達がくり返されるようになると、房子は自分が考えていることが起きていると確信した。マサユキにそれとなく聞いてみた。「アンジェリーナ夫人はパパによくしてくれるの?」
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「ピンドラーマ」1月号配布中
コジロー出版のブラジル情報誌「ピンドラーマ」1月号が出版された。 加山雄二郎氏の「魔詞不思議なブラジル経済」では、昨年のブラジル経済的政策を解説。2020年はボルソナロ政権2年目。その経済の興味深
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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(193)
樽が町に出たのは松吉も農地からはなれ、近郊でなにか別の仕事を始めようと考えていたからだ。行き先はサンカルロスではなく、首都サンパウロに近いサントアンドレーという町だった。 樽はもうしばらくサンカル
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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(191)
初めの晩、家族をジャカランダのテーブルの周りに呼び「上り口説」を沖縄弁で歌った。 たびぬ´ んじ たちくわあんぬんどー しんてぃくわぁんぬんふし うぅがいでぃ くがにしゃく とぅてぃ たちわかる
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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(190)
家でポルトガル語を話すということは、長年、上の息子二人のために家まで日本語を教えに来てくれた臣道聯盟の仲間、高橋先生を断らなくてはならない。旧友にそれを知らせるのが辛かった。言い出すには断るための口
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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(189)
両親にそのことを朝市で会ったとき、話したほうがいいと思っていた。その機会がきて、「お宅の息子さんの成績はとてもいいのですが、ポルトガル語を少し直したほうがいいと思います。町での生活になれるのに障害と
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『ブラジル日系文学』第63号を刊行
ブラジル日系文学会(櫻井セリア会長)が発行する『ブラジル日系文学』第63号(発行者=近藤アンドレ、編集者=中田みちよ)が11月に刊行された。同文学会が組織一新して、第2号目となった。 今号では、金