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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(154)

 DOPSにはこの作業の手間を省くため印刷物が用意されてあった。表側には容疑者の「評価調書」と書かれ、証言がなされた日付、証言者のデータが記されていた。この部分はカルドーゾ署長、証言者、公証人が署名するようになっていた。裏側には証人の出席のもとに取られた「訴訟書」と書かれていた。 「訴訟書」作成はカルドーゾ署長が定めた厳しい規則 ...

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月刊ピンドラーマ=10月号配布中

 コジロー出版のブラジル情報誌『月刊ピンドラーマ』10月号が出版された。  宮本碧氏の「さんぱうろぐるめをっちゃー」では、サンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区の人気台湾料理店などを紹介。また同出版社で、日向ノエミア氏の著書も販売している。ポ語教育関係者で異文化エッセイストの在日ブラジル人の興味深い考察を楽しめる。その他、イベント、飲 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(153)

 DOPSについた次の朝、身分証明と身上鑑定のため三階によばれた。姓名、両親の名前、生年月日、既婚、未婚の身分、職業、国籍、出生地、在伯期間、学歴、住所、検挙日、検挙の理由、宗教などが確認され、指紋がとられた。  調書内容のほとんどが独裁政治の新国家体制下に発布された1938年6月12日の法令第554条に基づくものだった。この法 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(152)

 4月9日、ヨシオは助け合うという精神をもって、帰途につくマサユキを連れ、アララクァーラ向けの汽車にのった。  ヨシオは房子に大歓迎を受けた。 「あなたがきてくれて、よかった。本当に助かるわ!」  夫の従兄弟を大喜びで迎えいれた。  ヨシオが従兄弟の農園でやる仕事は、自分の家の仕事とあまり変わらなかった。畑を耕し、除草をし、水を ...

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和歌山=県人移民100周年記念誌完成=400頁で30家族の歴史綴る

 ブラジル和歌山県人会(谷口ジョゼ会長)は22日の創立65周年式典内で、2017年から取り組んでいた『県人移民100周年記念誌』の発刊式を行った。  記念誌は全400頁フルカラーの大作。県人会の歴史、県人30家族の歴史、松原植民地の歴史などをまとめた。製作には宮坂国人財団、和歌山県庁が支援を行った。  刊行にあたって仁坂吉伸知事 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(1)

 子どもは気が動転したウシの権幕におされ、父親の勾留のことをきちんと話すどころか、説明するのも容易ではなかった。 「カッカン(勝つ)とかマキタン(負ける)とかいうことで…」  沖縄弁で、日本が戦争に勝ったとか、負けたとかでまっ二つに分かれたことを説明しようとした。 「知ってる? 臣道聯盟のこと?」と聞いた。  サンカルロスはアラ ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(150)

 そこからどこに連れていかれるのだろう? どこかの牢屋で忘れられてしまうのだろうか?でも、どこの牢屋なのだろう? いつまでなのだろう?  妊娠6ヵ月の身重で、上が11歳、下が1歳半少し、夫はおらず、他人の手も借りることができない彼女にとって、それはすごい重荷となった。姪の殺害、息子の死という悲劇からそうたっていない彼女に、今度は ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(149)

 マサテル(正輝)という二つの漢字を書いた。はじめの正はたいてい「まさ」と読まれ、臣道聯盟本部で没収されたリストの漢字を読んだ翻訳人は「まさ」と読んだ。ところが、二番目の「ひかる」という意味の漢字は名前に使われた場合、「てる」、「あき」、「とし」、「のぶ」そして、「みつ」と読まれる。どの漢字もはじめの「まさ」に合っている。正輝の ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(148)

 正輝はこうした警察の動きに細心の注意を払った。捜査が進めば、やがて、アララクァーラにも警察の手が延びるのは時間の問題だった。それには理由があった。カルドーゾ警察長の指揮のもとに行われた家宅捜索で警察が没収した聯盟制作の詳しい地図には、アララクァーラの町にもはっきり印がついていた。  サンパウロ、マウア(この支部は前回の警察調査 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(147)

 オゾーリオ書記官により作成されたリストによると、ジョアン・カルロス・ネットとエリオ・パソッチが、臣道聯盟の幹部根来良太郎、佐藤正信、木村貞二、塩塚金吉ら立ち会いのもとに行った没収物は包装27個にもなった。  最初の包には日本国旗6枚、2番目には日本の小国旗7枚、3番目にはいろいろなアルバム、4番目には臣道聯盟の理事たちの写真、 ...

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