文芸
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どこから来たの=大門千夏=(77)
文句を言うと、もう他に部屋はないという。さすがに腹が立って大声で文句を言った。するとどうだろう机の下からすっと鍵が出てきた。「この部屋は湯がでるよ」だって。知っていても苦情が出るまで知らぬ顔をしてい
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梅崎さん「老人日記」を発刊=丁寧に綴った2年5ヵ月
梅崎嘉明さん(95、奈良)がエッセイ「老人日記」を発刊した。全207ページ。刊行数は100冊、日毎叢書企画出版。 梅崎さんの日記を読んだ友人から「おもしろいから本にしたら」と書籍化を勧められ、20
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どこから来たの=大門千夏=(76)
しかし、信じてはいけない。 私達が寄った食堂のお姉さんは――イヤイヤお嬢さんは一五?一六歳にしか見えなかった。テキパキと働き、店の台所を一人で切り盛りしていた(台所はお客から見えるところにある)。
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どこから来たの=大門千夏=(75)
「水代、一〇ドル! 二人で二〇ドル、それから、これに税金やらサービス料やら、二五%かかる」 「じゃあ二人で水だけで二五ドル。まさか!」二人で顔を見合わせた。 あわてて残った水をいじましくコップに
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どこから来たの=大門千夏=(74)
「貴女の応接間に飾ってあげてほしいんだけど」と言うと、女はキョトンとした顔をして、首を少しかしげてエッ?と言ったようだった。 「これはお母さんの心、お母さんの魂よ。売ったりしないで。……お母さんを思い
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ピンドラーマ=4月号
コジロー出版のブラジル情報誌「ピンドラーマ」4月号が出版された。 今回の「移民の肖像」はグアルーリョス市で50年以上も竹を育ててきた宮崎堯さん。18歳で単身渡伯した宮崎さんの竹栽培への情熱が描かれ
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どこから来たの=大門千夏=(73)
こんなところに一人で住んでいた? しかしここまで黒くなるには少々の年月ではないはずだ。雨漏りだろうか、それとも水道管か。今までよくも漏電しなかったこと。 階段の白い大理石の手すりは壊れたままで、そ
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どこから来たの=大門千夏=(72)
残されたコレクション 長らく雨の降らない日が続き、埃っぽく、喉はイガイガする、眼は赤くなる、こんな四月のある日、派手な服を着た、どこか落ち着きのないブラジル人女性が私の骨董店に入ってきた。 母親
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どこから来たの=大門千夏=(71)
急に胸の奥から申し訳ない気持ちが湧き起こってきた。ごめんなさいねと夫の写真に素直に謝った。夫にだけでは物足らず、神様ごめんなさい…思わず口に出して謝った。信心のないはずの私、神は病気の夫を助けてはく
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どこから来たの=大門千夏=(70)
夫が亡くなって二年たった。一人で骨董屋を続けていた。 疲れ果てて旅から帰って来ると必ず何か問題がおこっている。 借家の事、商売の事、持っている土地の事、使用人の事、その上、日本にいる母の事まで、