「あーー夢に見たボンベイ!」と叫ぶとゲッチイは、「新婚旅行にボンベイに行ったのよあの二人…しかしすぐに破たんする。幸せとお金は関係ないわ」 「うう…んん。でもねェ幸せって言うのはやっぱり、お金があるってのは幸せってことだよね、それでも文句があるんだからねェ、不思議だよねェ」 「貧乏でも一生連れ添える人が側にいるのが一番いいのよ」 ...
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明治維新を世界史から読み解く=『日本文化』7巻、販売開始=龍馬の生涯、ポ語で初詳述
サンパウロ青年図書館とニッケイ新聞は21日、『日本文化7~明治という時代~』を刊行した。今年は明治元年(1868)から150年目の節目の年。同書では人気メルマガ『国際派日本人養成講座』の著者である伊勢雅臣氏の論説を中心に、植民政策を推し進める当時の欧米諸国の動きから、世界史における明治維新を読み解いていく。 【第1章】『黒船 ...
続きを読む »どこから来たの=大門千夏=(68)
夕方パラチの別荘に着いた。外から見るとごく平凡な背の高いコンクリート塀があって、その真中に大きなペンキのまだらにはげおちた厚手の木製の二枚扉がある。青みがかったネズミ色の扉。しかしこのまだら加減がパラチという古い町によく調和しているから不思議だ。いかにも昔からの由緒ある家族が住んでいるといった風情である。 ベルを押しても誰も ...
続きを読む »どこから来たの=大門千夏=(67)
「何を言ってるのよ。そんなこと言っても前世のカルマもあるからね。そう簡単にはゆかない」と友人は恐ろしいことを言うが、今の私にとっては医療保険に入っていないのだから、頼りになるのはこのイシュタル様だけなのである。 「お願いですよ。ことが起こったらすぐに一直線に天空に連れてってくださいよ。すみませんがお願いします。お忘れなく」と念に ...
続きを読む »どこから来たの=大門千夏=(66)
しかし不思議とこの高さ二八㎝の泥人形は、どこに置いても見劣りがしないのだ。どんな物のそばにおいてもしっかり自己主張している。 おかしなもので物というものには「位」があって、いい加減なものは本物のそばに置くととたんに見劣りがしてくるし、見あきてくる。しかし本物はどこに並べおいても風格がある。 これはやっぱり本ものに違いない… ...
続きを読む »どこから来たの=大門千夏=(65)
しかし、本当はなくてよかった。あったら今頃はどこに隠そうか、どこに並べようか、私が死んだら誰に残そうか、と頭を痛めるに違いない―――と虚勢を張ってはいるが、本当は愚痴半分、くやしさ半分から抜けきれないでいる。 神隠しにあってなくなった首飾りの事を友人に話したら、いたく同情してくださって、インドネシアのバリ島から古いとんぼ玉の ...
続きを読む »どこから来たの=大門千夏=(64)
欲張り男! ケチ! ブオトコ! いじわる!…自分の財力のなさは棚に上げ、ありとあらゆる雑言を並べ、はけ口とする。悔しくて、腹が立って、何時までも物欲ならず首飾慾にとらわれて頭から離れない。いろいろな発掘品の首飾りが五〇本並べられている様を想像して涙が出るほど悔しい思いをした…いや本当は今もしているのだ。 自分には発掘品の「首 ...
続きを読む »どこから来たの=大門千夏=(63)
この気の遠くなるような仕事をしていた人が、一〇〇〇年前に生きていたと思うと私の心臓はどきどきする。今の私と同じように喜び、悲しみ、驚き、希望、絶望…色々な感情を持って生きていたのだ。標高三五〇〇m~四二〇〇mもある酸素の薄い高地に日干し煉瓦や竹材で住居を作り、ジャガイモやトウモロコシを主食にし、時にはチチャという酒を飲んで憂さ ...
続きを読む »イタペセリカ日本語学校=80周年記念誌「心豊かに」
2015年に創立80周年を迎えたイタペセリカ・ダ・セーラ日本語学校(牧山純子校長)。このたび記念誌『心豊かに』が発刊された。同校の歴史や卒業生、在校生の言葉などが掲載されている。日ポ両語。 サンパウロ州イタペセリカ・ダ・セーラ市に位置する同校は1935年の開校。1942年1月にブラジル政府が日本との国交を断絶し日本語が禁止さ ...
続きを読む »どこから来たの=大門千夏=(62)
「結婚相手よ。これから食事に行くの、今から出かけるけどごめんね…あの人ね、オ・オ・ガ・ネ・モ・チ」と言っていたずらそうにウインクした。 ハンドバックから口紅を取り出すと、売り物の鏡の前でもう一度化粧直しをしてソワソワと使用人に二言三言話してから、「じゃあね、また来てね」と言って出口の方に向かった。 とびらの前で振り返って、店 ...
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