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文芸

道のない道=村上尚子=(34)

 畑全体は出来なかったが、大半はやっつけた。考えてみると、生きた葉に毒をかけても、まだ水分は根元から上がっているので、枯れることはない。  私のやり方なら、もっと勝負は早いと思った。とにかく、この年のトマトは、弟宅と、私の家の二軒がこの地域では、収穫できた。今考えてみれば、一郎は、ハサミの件は何も言わなかった。第一、見てもいない ...

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ピンドラーマ=11月号

 コジロー出版社のブラジル情報誌「ピンドラーマ11月号」が発刊された。  好評連載中の各国移民レポート(コンゴ)やサッカークラッキ列伝、健康茶「ハイビスカス茶」ほか恒例のグルメ、イベント、求人情報を掲載。  日系書店、日本食店などで配布している。問い合わせは同出版社(11・3277・4121)まで。

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最後の日本兵 小野田さん=伝記がブラジル陸軍から出版

谷口眞一郎和歌山県人会長(左)と平崎靖之会長

 終戦を信じず、戦後30年近くフィリピン・ルパング島に潜み闘い続けた元帝国陸軍少尉、故小野田寛郎さん(和歌山出身)のポルトガル語伝記『セン・レンジソン(降伏せず)』がブラジル陸軍から発刊される。刊行発表会が18日午後7時からニッケイパラセホテル(Rua Galvao Bueno, 425)で行われる。  松田ルイ・ユタカ陸軍少将 ...

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道のない道=村上尚子=(33)

 この蜂は「アフリカ蜂」といって、蜜が多く採れるということで、わざわざブラジルがアフリカから取り入れたものだそうだ。ところが、手に負えない獰猛な蜂だとは知らなかったそうで、何人もの死者が出ているとのこと。  この蜂騒動の後、家に着いてみると、八羽の鶏は全滅、犬は本能的に暗いカーマ(寝台)の下へ潜り込んだらしい。そこから身動きもせ ...

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道のない道=村上尚子=(32)

 そのうちに私はどんどん弱りきってきた。このままでは死ぬしかない……思い切ってドラム缶から出た。前が見えにくいほどの蜂の群れの中を、よろよろ逃げた。   この時、ふと庭を通り過ぎようとしたら、キナ粉餅のように膨らんだものが、力なくうごめいている。里子をわざわざ裸にして、日光浴をさせていたのを思い出した。蜂は二重、三重どころではな ...

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第27回伊藤園お~いお茶新俳句大賞(2016年度) ブラジル入選者 

【都道府県賞】

節大き手より豊かな蓬餅  玉田千代美

雑煮食ぶ北斗の見えぬ地に住みて  香山和榮

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ニッケイ俳壇(914)=星野瞳 選

アリアンサ  新津稚鴎

ランプ下げ通いし句会念腹忌
アラポンガ鳴き止めば森がらんどう
木々芽ぐむ枝にぎやかに差し交わし
森の穂にアララが騒ぎ初明り
万緑の中漂へる鷺一羽
大雷の鳴り夕立のはたと止む

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ニッケイ歌壇(525)=上妻博彦 選

サンパウロ  武地志津

チッチッチチと微かに啼くは何鳥や炊事の手を止め耳澄ませ聞く
洗濯場そっと覗けば小燕のあらぬ場所より不意に飛び立つ
吾が影に怯えしならむ小燕の狭き空間ぱたぱたと飛ぶ
久々に迷い入り来し小燕のいじらしきさま暫し見て佇つ
小燕の囀りやめば片隅に親を恋うらむじっと動かず

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ニッケイ俳壇(913)=富重久子 選

サンパウロ  近藤玖仁子

香水も古き香になり年たてば

【色々な香水を使う人がいるが、すれ違いざまに仄かによい香りが漂ってくるのは、確かに心地よいものである...

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道のない道=村上尚子=(31)

 小規模とは言っても、何アルケールという土地での仕事、それなりの資金もいるし、運が良ければ金が儲かった。そして、ゆくゆくは、「バタタ王」のような夢をみた。であるから、小さな農家は小さいなりに、精一杯の形で勝負した。結局、彼らも又、大体三回も失敗をすれば、同じように破局が待っていた。  私たち家族も貯めていた金を元手に、一郎の夢に ...

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