文芸

  • 移民差別法令集を刊行=発刊記念会10日

     移民政策のなかで差別を受けてきた日本人移民。ブラジル帝国開始以来、大量の法律の中から差別、区別にあたる16法令を集めたポ語の労作『コジーゴ・アマレーロ(日本人移民関連法令集)』の発刊記念会が、10日

  • 道のない道=村上尚子=(30)

     この時が一郎のかきいれどきとなる。よろい戸を下ろすのは、亡くなった者と縁者への敬意の形らしい。  埋葬が済むと、数十人の人たちが、どっと入って来た。殆どの者がピンガをあおるためだ。一郎は慣れたもので

  • 道のない道=村上尚子=(29)

     家計の財布は一郎が握っていて、それに何の不満もなかった。年中現金の顔はあまり見ない世界にいたので、家計を任されようが、そうでなかろうが気にもならない。  一週間もした頃、一応家の中のことは慣れたので

  • 道のない道=村上尚子=(28)

    「あの靴の中の足先には指がないとは、どういう形をしているのだろう……」  緊張しながら盗み見た。 「両足に指がないくらい、人間がまともなら関係ないじゃない」と自分に言い聞かせてもいた。    結婚式は

  • 道のない道=村上尚子=(27)

     パトロンは、よく太っていて、後の壁と粗末なテーブルの間に、どっしりはまり込んだ。色白の短い首に、大きな頭が乗っている。  その彼は、見かけと違って、テキパキしたボリュームのある声で話し始めた。大きな

  • 道のない道=村上尚子=(26)

     蛇は、ひろ子から私へ目を移した。こちらも睨み返した。蛇は、この無謀な私に気圧されたのか、闘争力を失った。そして池のほうへ体を延ばして、うねうねと逃げて行った。どうして私に、そんな勇気があったのか、分

  • ニッケイ歌壇(524)=上妻博彦 選

    サンパウロ  遠藤勇

    夕暮れて雨音激し雷しきり待ちいし豪雨爽快に降る
    雨上がり初夏の朝風心地良し両手差し上げ深く息する
    夏の陽は強い光を地に注ぐ成長の夏躍動の夏<

  • ニッケイ俳壇(912)=星野瞳 選

    アリアンサ  新津稚鴎

    信濃村のポルトガル人煙草干す
    鳩車に似て葦舟や湖は春
    アリアンサの鳳梨も供え念腹忌
    睦みつつ濁流越えて行きし蝶
    富士の

  • 表紙

    『西風』第4号を刊行=ソ連侵攻やサンファン体験も

     西風会は『西風(せいふう)』第4号(158頁)を9月に刊行した。毎月1回集まって議論をする私的な研究会で、体験談や調査内容を半年に一度ほど出版しており、今回4冊目になった。  「『お守り』―新京の遠

  • 道のない道=村上尚子=(25)

     ブラジルに景気が出てくると『クルゼイロ』、パラグアイなら『グアラニー』というお金を、商人たちは欲しがる。この町からブラジルへ、移民たちは脱出することになる。彼らは、所帯道具を担いで逃げて行く。  す

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