アンタは、あの小さな蟻を食べるのだそうで、蟻の巣を見つけては、鼻を突っ込み、平らげて行くという。蟻の巣といっても、日本のものとは規模が違う。直経一メートルくらいの土が盛り上がっている。それだけでも大きいのに、その下は蟻の大都会だ。ずっと縦横に広く深い。このアンタが、何と二本足で歩くのだそうで、私たちは、咄嗟にこの動物が頭をよぎ ...
続きを読む »文芸
薬草・健康=サンパウロ 吉野功努雄
今日では薬草や野菜類が健康に良いと、ブラジルの雑誌などにも沢山書かれており、非日系人の間にもだんだん知られ普及してきたようです。 この薬草ですが、誰にでも効くものと、人によっては効かないものがあるようです。自分に合わないと思ったら、色々試して合うものを見つける必要があると思います。 循環器系統のデラメ(内出血)、脳梗塞、心 ...
続きを読む »道のない道=村上尚子=(23)
こちらも先の見通しは真っ暗であったが、今とりあえず間作で、ほそぼそとでも食べて行ける。彼が哀れで、せめてジープだけでも持って逃げられて良かったと、私は思った。しかしジョンソンが倒産した以上、この地もいずれ追い払われるだろう。 ともかく生活は続けていた。 ある日のこと、父が豚を殺した。脂身を保存用の油にするのは、私の役目であ ...
続きを読む »文協=日伯文化の比較書を出版=両国の親善関係強化を目指し
ブラジル日本文化福祉協会(呉屋春美会長)は昨年の外交120周年を記念し、ポ語書籍「インテルカンビオ・クルトゥラル・ブラジル・ジャポン」を刊行した。 同書は原田清評議員長を主導に共編。両国間の親善関係強化を目的として上梓された。学術、スポーツ、料理、礼儀、商工業、厚生など31章に渡る幅広いテーマについて、日伯双方を比較しながら ...
続きを読む »道のない道=村上尚子=(22)
父は、あまりの苦しさに、お金を借りる手紙を書いたらしい。日が過ぎて忘れた頃に、今度は馬車を使って、保明が豚を五頭持ってきた。どうやら、借金の代わりに豚で払ったようだ。山城さんの豚小屋に、保明の持ってきた豚を放した。これが、あまりにも痩せこけていた。この家の息子が、思わず笑ってしまうほどに…… その山城家とは、あれ以来逢ってい ...
続きを読む »道のない道=村上尚子=(21)
この日は、みなと違う場所へ仕事に出かけた。菜園用の畑に赴いたのだ。この畑へ、ひろ子を置いて去ることにした(後で気がついたら、彼らが父母へ子供を届けてくれる)と思っていた。ごたごたした、ひろ子の品物を持ち出すのは、皆に不審を持たれる。子供は、着の身着のまま連れてきた。今、眠り込んでいる……誰も気づいていない。周りの者たちは、それ ...
続きを読む »道のない道=村上尚子=(20)
家計の財布は一郎が握っていて、それに何の不満もなかった。年中現金の顔はあまり見ない世界にいたので、家計を任されようが、そうでなかろうが気にもならない。 一週間もした頃、一応家の中のことは慣れたので、改まってバールを覗いた。二、三人の客が、ピンガを飲んでいる。陳列ケースの中には、ぱっとしない「サルガード(前菜)」が並べてある。 ...
続きを読む »ニッケイ俳壇(911)=富重久子 選
スザノ 畠山てるえ 薪を焚く観光列車竹の秋 吐く煙後へ後へと花マナカ マリアフマッサ老幼嬉々と山笑ふ 列車行く町に郊外黄イッペー 浮雲の空にひと掃き竹の秋 【「薪を焚く」観光列車があるとは聴いているが、残念ながらまだ乗ったことは無い。昔窓を開けると、もうもうと煙の入った事を覚えていて何となく懐かしい。 「竹 ...
続きを読む »第三十八回念腹忌全伯俳句大会
◎席題入選句 寿和選 七十路のこの身にそよぐ木の芽風 田中美智子 師の忌へと麻州飛び立つ東風の朝 小原 加代 パレットにピンクを足して春の山 柳原 貞子 勇気出せパラリンピック負けるなよ 小林恵美子 ...
続きを読む »ピンドラーマ 10月号
コジロー出版社のブラジル情報誌「ピンドラーマ」10月号が発刊された。 好評連載中のクラッキ列伝やカメロー万歳ほか恒例のグルメ、イベント、求人情報を掲載。 日系書店、日本食店などで配布している。問い合わせは同出版社(11・3277・4121)まで。
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