文芸
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道のない道=村上尚子=(19)
ひろ子が歩くようになった。一歩一歩両手を広げて、私へ向かって来る。嬉しそうに……いつでも支えられるように、私も身をこごめて両手を広げた。そんなに大きくなってきたひろ子。これを毎日おんぶしての草取りで
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至極の100枚を掲載「移民Ⅱ」=サ紙の創刊70周年も記念し
サンパウロ新聞の松本浩治編集局次長による写真集「移民Ⅱ」がこのほど刊行した。2006年の「移民Ⅰ」に続く10年ぶりの続編にあたり、その間撮影した約100枚の写真が収められている。 1966年、大阪
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道のない道=村上尚子=(18)
「母が、さすがに私たちのことを放っておけずに、父を説得したのだろうか?」 その時は、何が何だか分からずに、すぐに山城家に向かった。私は内心あのおじさんなら、と思えたからでもあるが。無一文の私たちは、
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道のない道=村上尚子=(17)
父の説明によると、毒蛇の体の模様は地味で頭は小さく三角形ということであった。確かに体の模様はおとなしかった。 翌日、三キロ先の太田さん宅へあげた。ご主人はいそいそと蛇料理にとりかかった。この家でも
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ニッケイ歌壇(523)=上妻博彦 選
サンパウロ 梅崎 嘉明 大鳥居くぐればピニアル植民地広き会館太鼓の響く 誘はれて出で来しピニアル別名は福井村とかデコポン産地 福井村と記せる法被で商える老若男女さながら日本 一つのみ食べても
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ニッケイ俳壇(910)=星野瞳 選
アリアンサ 新津 稚鴎 淋しさの寒月光に身を委ね 麻州野の大夕焼の森閑と 鳳梨売る砦の如く積み上げて 霧の中飛び来るは皆トッカーノ グァタパラ 田中 独行 巻き風の吹き
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道のない道=村上尚子=(16)
星が目に痛いほど光っている。それを眺めながら、「私たちは、この先どうなって行くのだろう」と思い巡らした。 茂夫は、少しづつ笑顔が戻ってきた。夜、ランプの下で、雑誌を読んで聞かせると、楽しむ反応を示
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「現代ブラジル事典」=商議所で取り扱い開始
ブラジル日本商工会議所が刊行した書籍『新版 現代ブラジル事典』の取り扱いが始まった。同会議所(Av. Paulista, 475, 13o. andar)が170レアルで販売している。 2005年
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道のない道=村上尚子=(15)
「お父さんは、あの恩給で自分自身をダメにしてしもうた……」 この知らせを境に、父はいよいよワンマンになり、皆を頭から押さえ付けた。何より茂夫に対する苛めが、度を越してきた。ついにこの孤独な彼を見かね
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道のない道=村上尚子=(14)
何やかやと大変なことが押し寄せたが、一段落した。こちらも人のことどころではない。産後の養生のため、炊事は私の当番になった。その後、川中さんの指導のおかげで、こちらも自給自足の体制に入っていった。