どこから来たの=大門千夏

  • どこから来たの=大門千夏=(22)

    「テニスがいるんだ」顎をしゃくっていきなり言った。自分たちの要求を聞くのは当たり前と言った横柄な態度。 「ここはバザーだから何時でも売りますよ。一足二レアル」鉄格子の内側から大声で怒鳴った。よく見ると

  • どこから来たの=大門千夏=(20)

     それを見た友人は「ブラジルでは食べ物を持って帰ることは恥です。貴女のしたことは恥ずかしい事ですよ」ときっぱりと言いはなち、その上「ブラジルでは食べ物を持って帰るなんて習慣はありません。あなたのしたこ

  • どこから来たの=大門千夏=(20)

     障子に朝の柔らかい黄色い光が、冬は雪の白い光、雨の日は灰色のどんよりした光が当たっている。それをぼんやり見ている内に段々目が覚めてくる。――と、急に「朝がきた!」と嬉しくなる。すぐに腹ばいになって枕

  • どこから来たの=大門千夏=(19)

    「アア、中々よく似合うわ」自分の作った「世界に一つの首飾り」に満足する。  夜になった。シャワーを浴びようとして、首飾りが外れない、先生に留めてもらったので外し方が判らない。安物だから簡単なはずなのに

  • どこから来たの=大門千夏=(18)

     理由は、これから私が八〇歳になったら、することが無くなるだろうから、日がな一日椅子に座って、首飾りを作ろうという目的と言うか希望を持っているからだ。  その日のためにあちこちでビーズを集めてきた。

  • どこから来たの=大門千夏=(18)

     理由は、これから私が八〇歳になったら、することが無くなるだろうから、日がな一日椅子に座って、首飾りを作ろうという目的と言うか希望を持っているからだ。  その日のためにあちこちでビーズを集めてきた。

  • どこから来たの=大門千夏=(17)

     それから何だかステービスの様子がおかしかった。私のアンチーク・ジュエリーの直しも暇がかかることが多くなった。度々いないことがあった。  ある日、息子が「父は肺がんにかかった」と教えてくれた。 「絶対

  • どこから来たの=大門千夏=(16)

     彼の細工場は街の中央の古いビルの中にある。このビルに入ると大理石を敷き詰めた丸いホールがあって、正面の壁には細かいタイル細工でコーヒー園の様子が描かれている。よく見ると右下にかの有名なニーマイヤのサ

  • どこから来たの=大門千夏=(15)

     その上、作品をじっと見ていると、自分があの石器時代に紛れ込んだような錯覚まで起こす。  不器用な私も、みなと同じように石を削ったに違いない。しかし根気のない私はすぐに投げ出してしまった事だろう。そん

  • どこから来たの=大門千夏=(14)

     小さい時から私は発掘品が好きで、若いころは考古学者になろうとしたことがあったが、ある時、発掘現場で多くの学生が、炎天下にしゃがみ込んでハケを一本もって土を払いのけている作業を見て、即、その気を失くし

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