中島宏著『クリスト・レイ』
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中島宏著『クリスト・レイ』第41話
「カクレキリシタンというのは、隠れキリシタンというふうに書きますが、それは、表面からは隠れたキリスト教徒のことをいいます。あれだけの厳しい弾圧を受けた当時のキリスト教徒たちは、潜伏して、つまり隠れる
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中島宏著『クリスト・レイ』第40話
「その辺りから、キリスト教徒に対する弾圧は本格的なものになっていったのね。徳川幕府にとっては、そこまで徹底した態度で抵抗する信者たちに、薄気味の悪さと、理解できないような不気味さを感じ取ったのでしょう
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中島宏著『クリスト・レイ』第39話
でも、そんなことだったら、ヨーロッパから来た移民の人たちが、同じようにそれぞれの教会を建てているのだから、それは別に特別のことでもないだろうと言われそうだけど、正直に言って微妙なところで、やはりそこ
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中島宏著『クリスト・レイ』第38話
「まあ、それだけ徳川幕府のあせりと、西洋から来たキリスト教という宗教に対する脅威は、普通ではなかったということね。 ただ、一方で、そこまで根深く広がってしまったキリスト教を、そんなに易々と絶やすわけ
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中島宏著『クリスト・レイ』第37話
「そのポルトガルの日本での勢力が弱くなったことと、キリスト教への弾圧が始まっていったこととは、どこでどう結びついているのですか。簡単に考えると、そこにはあまり直接的な関係はないようにも見えるけど」 「
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中島宏著『クリスト・レイ』第36話
「あら、そういうふうに言ってもらうと、私も嬉しくなるわ。じゃあね、マルコスにもできるだけ分かるように説明していくわね。でも、分からないところがあったら遠慮しないで質問してもらって結構よ。私だって歴史の
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中島宏著『クリスト・レイ』第35話
「この前も話したと思うけど、イエズス会の重要なメンバーでもあったフランシスコ・ザビエルが、宣教師として初めて日本を訪れて布教を始めたのが十六世紀半ば辺りだったけど、彼だけでなく、その後ポルトガルから何
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中島宏著『クリスト・レイ』第34話
そういうマルコスに対してアヤが好意を持ったのは、彼女自身にも性格的にそのような傾向を持っているという点に繋がっているようでもあった。要するに、二人の間には共通する波長を感じ取ることができたということ
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中島宏著『クリスト・レイ』第33話
たしかに、最初はこの教会の異様さに驚いて、それを調べてみようという動機があったのだが、それがいつの間にかアヤを通じた形のものに変わって行き、やがて、その背景の探求も、知らぬ間にアヤを中心とするものに
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中島宏著『クリスト・レイ』第32話
都会に出て、別の可能性を試してみるというのも大きな魅力ですが、どうも今まで考えてみたところでは、僕にとってはやはり、牧場経営に入っていった方が向いているのではないかということですね。父がやってきたこ