中島宏著『クリスト・レイ』
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中島宏著『クリスト・レイ』第101話
いってみれば、クーデターという名の政変を鎮圧するために、これを武力で解決しようという局部的な動きであって、大きく一般市民の支持を受けた戦いではなかった。それはたとえば、あのアメリカで起きた南北戦争と
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中島宏著『クリスト・レイ』第100話
ブラジルの主要な輸出製品であるコーヒーの輸出が、それまでには見られなかったほどの減少ぶりを示し、一度に売れなくなってしまった。さらには、砂糖、とうもろこし、綿、牛肉といった輸出の牽引役ともなっていた
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中島宏著『クリスト・レイ』第99話
「それとも、よほど鈍感だったのかということでしょうね。私の見るところではどうも、そのどちらにも原因があったということのようね。でもね、マルコス、そんなことよりも、私はもっと大事なことが、そこにはあった
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中島宏著『クリスト・レイ』第98話
アヤや、ここにいる他の日本人たちの行動や態度を観察しながら、できるだけそれに近づこうとしたことは事実です。まして、こういう個人的な感情の問題となればなおさらのこと、アヤの立場を考える必要があるという
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中島宏著『クリスト・レイ』第97話
でも、駄目だった。その気持ちは日増しに高まっていくばかりで、コントロールが付かなくなって行くような雰囲気だったわ。そこで、あなたはこのことを、つまりこの私の気持ちの変化を感じ取っているか、いないのか
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中島宏著『クリスト・レイ』第96話
「もちろん、よく分かります。そういう返事はいかにもアヤらしいという感じですね。何事にも真剣に考え、取り組むという姿勢は、こういう交際という問題にもきちんと表れているということですね。分かりました。アヤ
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中島宏著『クリスト・レイ』第95話
はっきり言ってねマルコス、こういうふうに人を好きになるということは、私にとっては初めての経験なの。そりゃあ、初恋のようなものや、片思い的な淡い恋心を抱いたことは今までにもあったけど、それはまあ、通り
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中島宏著『クリスト・レイ』第94話
でも、残念ながら、というか、結果としては、それに勝てなかったということになってしまったわね。だから、さっきあなたも言ったように、私もそこに罪悪感のようなものを感じてるの。だけど、こればかりは、すべて
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中島宏著『クリスト・レイ』第93話
「じゃあアヤ、あなた自身の問題としてはどうなんですか。僕との場合、単なる友情ではなくて、恋愛感情に発展していったとして、そこであなたは、どんな選択をするのでしょうか。要するに、その日本の伝統を取るのか
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中島宏著『クリスト・レイ』第92話
ところでね、アヤ、さっきあなたは、誤解を受けるかもしれないけど、と断ったけど、その誤解というのは、どういう意味なんですか。二人の間に生じ始めているものが、つまり、波長が合うというような現象が、誤解を