連載小説
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(162)
「密教の教えの中に、生きながら仏を目指す『即身成仏』(そくしんじょうぶつ)があります。だから密言(みつごん)で呪(まじ)い、座禅を組めば生き仏になれるかもしれません」「密言はマントラ、その漢訳は真言(
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(161)
「それで、場所を? 小川羅衆! 現場へ飛んでくれ」《あっしが?》「では早速、『運任雲』に乗ってもらいます」《それだけはかんべんしてくれ~》「如何してですか?」《あれは事故ばかり起こして危険な雲だ!》「
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(160)
《(フルカワ、こんな所で何を?)》『(悪者をなんとか自首させようと皆で拝んでいるところだ)』《(その東洋の魔術師達が?)》『(魔術師ではなく仏教の牧師だ。だが、彼等だけでは力が足らず困っているところだ
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(159)
更に一時間後、祭壇の蓮の上に天眼通の術を介した千里眼像が再び現れた。場面は日本料理店の座敷で、男が空になった酒ビンを女に見せ、女は頷きながら引き下がった。三分ほどして、女が酒ビンを持って現れた。男は
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(158)
「ジョージさん、不可視のエネルギーと無煙のエネルギーの後押しがあれば危険性が弱まり、効果も増しますが・・・、残念ながら今のエネルギー量ではとても無理です」《先輩! 黒澤和尚が言う無煙と不可視のエネ;活
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(157)
その夢幻像には、日本料理店の床の間に寝転んだ男の心霊画像と同じ画面が結像した。 黒澤和尚は御鈴を『チーン、チーン、・・・』と五回鳴らして『なんまいだ、なんまいだ、なんまいだ』と小さな声で呟くと『金剛
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(156)
腕を組んで、右手をあごに当てたジョージが、「ちょっと質問が・・・、ここでお祈りを上げるんですね? それで何が起こるんですか?」「森口を念仏で捕らえてここへ連れてきます」「そんな事、出来っこないですよ
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(155)
《いや、輪廻から抜け出ていない、つまり、極楽浄土に達っせず、まだ『天道』に留まって修行しておられる天部さんもたくさんおられるのじゃ》 古川記者運転の車はローランジアのインターチェンジにさしかかった。「
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(154)
《先輩、てめぇーもです》 いつも真剣な村山羅衆はもっと真剣な顔で、《今は宗教界が冥界の霊権を維持しておるが、人間界に平和が続くと不思議と魔界支持が台頭し、今回の霊と人間との約束事のような些細な事でも、
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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(153)
「三年前に不思議な経験をした。それで、可能ではないかと・・・」「ジョージさん、その経験とは?」「死んだ女が、中嶋さんよりも無謀で、俺よりも滅茶苦茶な男、オオハシと云う日本人をブラジルへ呼び寄せたんだ」