連載小説
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第145回
ニッケイ新聞 2013年8月24日 マリアは出産後もアパートにいてもらうことにした。 生まれた子供の名前の日本名はそれほど苦労することはなかった。日本に失望した二人が、サンパウロで出会い、
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第130回
ニッケイ新聞 2013年8月3日 中田編集長の叱責を受け、安藤の助言をもらっても児玉は午後になとる編集部を出た。行く場所は人文研だった。一九七八年は移民七十周年で、日系社会は祭典に向けて様々な準備を
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第146回
ニッケイ新聞 2013年8月27日 児玉も最初のうちは人前で抱きあったりキスをしたりすることに抵抗があったが、若いカップルが何もしないでいる方が不自然と思われるほどで、どちらからともなくバス
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第131回
ニッケイ新聞 2013年8月6日 ミッシェルまでは十分もしないで着いてしまう。児玉は意を決し言った。 「ナモラーダ(恋人)ができたんだ」 「それで……」テレーザは何事もなかったように聞き返した。
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第147回
ニッケイ新聞 2013年8月28日 「エー・ジャポネース(この日本人野郎が)」 取りつく島もなかった。 日系人とはいえマリーナは日本人とはまったく異なる文化の中で生きていることを児玉は思い
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第132回
ニッケイ新聞 2013年8月7日 幸代は白徳根の話を聞きながら、共和国に帰還した家族がどんな生活を送っているのか想像するだけで恐ろしくなってきた。トランジスタラジオさえ聞くことができない。電気が引か
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第148回
ニッケイ新聞 2013年8月29日 そんな言葉を児玉に漏らしていた。 彼らの多くは韓国にそれほど愛着もなく、愛国心があるようにも思えなかったし、ブラジルに帰化する者も多かった。 終戦直後、ドイツ
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第133回
ニッケイ新聞 2013年8月8日 そう言ったきり自分部屋に入り、風呂にも入らずに寝てしまった。その様子を見て、幸代は兄の容福はやはり死んでいると確信した。自分の思いを心に秘めておくことのできない母親
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第149回
ニッケイ新聞 2013年8月30日 マリーナがリタと台所に入った。児玉はサーラでイマージェンス・ド・ジャポンという日系人向けのテレビ番組を見ていた。日本の歌謡曲を二世が歌っていた。ヒロシという名前の
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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第134回
ニッケイ新聞 2013年8月9日 訪問団は夜行寝台列車に乗せられ、一部屋ずつ与えられた。部屋には金日成の肖像画が飾られていた。 「みんな平壌に着きさえすれば家族と再会できると思って、夜行列車に十八時