ガウショ物語=シモンエス・ロッペス・ネット著(監修・柴門明子、翻訳サークル・アイリス)
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ガウショ物語=(36)=赤いスイカと青いヤシの実=《4》=即興詩人をよそおって
「それはあしたにしておけ。今日は祝宴だ。ここに居て、婚姻を祝って葡萄酒を飲んだり、菓子を食ったりするがいい……。作業場へ行ってみな……」 「へぇ、親方。有難てぇことで。おれ、必ず、乾杯の仲間入りをさ
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ガウショ物語=(35)=赤いスイカと青いヤシの実=《3》=丘陵の高みに敵軍の一隊
馬具をつけるのを待つ間ももどかしく、伝令は馬に飛び乗ると駆け去った。脇目もふらずまっしぐらに目的地をめざした。 野営地に到着して携えてきた書簡を届けると、さっそく旧知の若者、つまりコスチーニャを捜し
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ガウショ物語=(34)=赤いスイカと青いヤシの実=《2》=娘と若者の秘密の取り決め
「お前さん笑っているが、下らないことだと思っているんだろう?……まあ、あの時代、あんたはまだ生まれてなかったからな……リオ・デ・ジャネイロの宮廷が独立宣言した時……、それから、ファラッポス戦争が起こ
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ガウショ物語=(33)=赤いスイカと青いヤシの実=《1》=刺繍のシーツと腰抜け野郎
「お前さん、まあ、ちょっと止まりなさい。馬具をしっかり締めなおさなきゃ、腹帯が後ろの方にズレちまっているぞ。それから、わしがあそこを行く爺さんにちっとばかり挨拶してくる間、タバコでも喫んでてくれない
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ガウショ物語=(32)=娘の黒髪=《7》=「ザルみたいに穴だらけ」
ある日、農場主があし毛の駿馬をわしにくれた。ちっこいやつだったが、可愛いのなんのって。そいつに馬具を着けようとしていたとき、相変わらずぼろをまとったピクマンが現れた。「あんたにいい贈り物を持ってきた
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ガウショ物語=(31)=娘の黒髪=《6》=爺さんの素早い山刀さばき
「おれの方からあの赤毛野郎にくれてやる! 好きなだけ寝てこい、この雌犬め!」 額に青筋を立て、目をギラつかせた隊長は、娘の腕を離すと、ほどけかけた三つ編みをつかんだ。手にぐるぐるとふた巻き、首筋のとこ
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ガウショ物語=(30)=娘の黒髪=《5》=目が覚めるほどの混血美女
そのとき、わしらの頭の上の幌つき荷車の中から、話し声が聞こえ、若い娘の笑い声がした。そして、女がペチコートの音をたてながら降りてきた。 膝を抱えて座っていたシルーは女の気配に気付くと、頭を垂れて顔を
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ガウショ物語=(29)=娘の黒髪=《4》=全てがだらけきった野営地
もうちょっと歩いて、ようやく目的地に着いた。原っぱの真ん中に大きな焚き火が燃えていた。周りには串刺しの肉が並べられ、焼ける肉から落ちる脂がジュージューと音をたてていた。炭火の上には鉄のやかんが並べら
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ガウショ物語=(28)=娘の黒髪=《3》=「ファラッポスをやっつけろ」
「ですが……やつを殺さないのですか…… 縛るだけですか……」「そうだ!脅してやるだけだ……」「それで、愛人のほうは……ぶん殴るんじゃ……ないんですか……」「いや! 恥をかかせるだけでいい……」「じゃ、
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ガウショ物語=(27)=娘の黒髪 =《2》=「とびきり上等な焼肉だ!」
牛飼いのジュッカ・ピクマンが先頭を行き、おれ達を枝や蔓が絡み合った茂みに導き込んだ。枝を切り落としたり、棘から身を守ったり、血を吸う薮蚊を手で叩きながら森の中を進んだ……。誰も口をきく者はいない。若