ガウショ物語=シモンエス・ロッペス・ネット著(監修・柴門明子、翻訳サークル・アイリス)
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ガウショ物語=(26)=娘の黒髪=《1》=馬に乗った別人になる男
「お前さん、わしが長い間、女の髪で作った馬の轡や端綱を使っていたこと知ってるかね?……もっとも、そのことにまったく悪意はなかったんだが」 ずっと後で、髪の主が死んだと聞いた。それを知ってすぐに馬で駆け
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ガウショ物語=(25)=皇帝の伝令=<3>=慈悲深い陛下のお気持ち
また、別の折、車座になっておったのだが、一人が短刀で掌のトウモロコシの皮を伸ばして、編み煙草の一切れを刻み始めた。刻んだやつを掌のくぼみでよく捏ねてから、さっきのトウモロコシの皮で包んで巻き煙草にす
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ガウショ物語=(24)=皇帝の伝令=<2>=陛下から秘密の特命授かる
万一しくじりを仕出かしたりしたら、ただでは置かんぞ! と言った。 何てこった!……しっかりとした足取りで、赤髭の前五歩ほどのところで直立不動の姿勢をとった。 すると老将軍が訊ねた。「今、話しているの
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ガウショ物語=(23)=皇帝の伝令=<1>=パラグァイ戦争で従卒に
一八六五年のパラグアイ戦争のとき、皇帝ドン・ペドロ二世陛下がご自分の親衛隊を引き連れてこちらにお出でになって、そのときに、わしは牧夫としてあるいは伝令として、それから忠実な従卒として一緒に歩き回った
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ガウショ物語=(22)=雌馬狩り=<3>=「無茶苦茶にいい気分さ!」
そこで男たちは群を両脇から押していった。本当の楽しみはこれからなんだ! 中でも足の速い馬を三頭、四頭、五頭も一まとめに駆り立てる、そして休む間も与えずに六レグアも一〇レグアも、一二レグアも走り続けさ
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ガウショ物語=(21)=雌馬狩り=<2>=「馬は三本足で歩き出す」
腕に自信のないやつでも少なくとも二組のボーラを携えていたが、大抵は三組用意していたし、五組も持っているやつもいた。一組は手に持ち、残りは腰にぶら下げていた。 これらのボーラはすべて小さい石を使ってい
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ガウショ物語=(20)=雌馬狩り=<1>=草原のいたずら者「チビ黒牧童」
もしお前さんがあの頃生きていたら、わしは何もいうまい。ことさら耳新しい事などないからな。だがあんたは若い。年から言えば、わしの孫くらいなもんだ……だから、まあ、聞きなされ。 あの頃は全てが開けっぴろ
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ガウショ物語=(19)=老いぼれ牛=<2>
未練がましくカビウーナが相棒を探して、たまに近くまで寄っていやな臭いをかいでいると、群がっているハゲタカどもがヨチヨチと離れる。腐った血をなめたり、ドウラードの肉の破片を飲み込んだり、吐いたりしなが
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ガウショ物語=(18)=老いぼれ牛=<1>=人も時に畜生よりむごい
いやはや!……人間ってのは、時に畜生よりも酷(むご)いことをする! お前さんだって、身の回りをみれば、惨たらしい場面に出くわしたことが何度もあるんじゃないかな。……そうさ、わしには忘れられん話がひと
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ガウショ物語=(17)=チーズを食わせろ!=<2>
相変わらずの忍耐強さで、爺さんはようやく自分の昼食の注文をした――卵と腸詰一切れ、それにコーヒーだ。それからチーズを切りはじめた。まず半分に、そして、その一つを八つか十切れくらいに切り分けた。切り終