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ガウショ物語=シモンエス・ロッペス・ネット著(監修・柴門明子、翻訳サークル・アイリス)

ガウショ物語=(5)=黒いボニファシオ=《1》=皆を骨抜きにするお転婆娘

ガウショの荒馬乗りの様子(翻訳者提供)

 ……その黒い若者は悪い奴だって? そりゃもう! 救いようのないロクでなしだった……だがな、勇敢な奴だったことも間違いない。 テレンシオ少佐の愛馬――顔と四足の白い黒馬だ――とナディコ(太っちょで片足びっこの黒人アントゥネスの息子だ)の葦毛とを競争させたときなんか、わしに言わせれば、奴がまさに真価を発揮したときだった……ただ、そ ...

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ガウショ物語=(4)=金三百オンス=《3・終わり》=銃を頭に当てて責任をとる

 だが、唄うなんて、あの時のわしには!…… 栗毛が大きく息をついて座りこんだ。耳を動かし、闇を嗅いでいる。浅瀬の渡りのところだ。この荒馬には場所がちゃんとわかったんだ。 チビのやつが、まるで喘息持ちみたいな息をしていた。わしは馬を下りた。 木の葉一枚動かない。物音一つ聴こえない真っ黒な下闇は恐れを抱かせる……、怖い? いや、ガウ ...

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ガウショ物語=(3)=金三百オンス=《2》=「あそこの置き忘れた!」

ジョアン・グランデ(翻訳者提供)

 あゝ!……突然記憶がすっかりよみがえった。昼寝をしたあの場所の光景が目に浮かんだ。脱いだ服をまとめて掛けておいたサランジの枝。それから、大きな石の上に置いた幅広の革帯と、その上に載せてあったけんじゅう拳銃用の細いベルト。 水に入る前に、最後の一服を喫(の)んで小枝の棘に突き刺しておいた煙草の吸殻。まだ燃え尽きないやつから青い煙 ...

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ガウショ物語=(2)=金三百オンス=《1》=大事な革帯がいつの間にか

伝統的なガウショの衣装(翻訳者提供)

「あの頃、わしは牛追いをやっていた。ある時、三百オンスの金貨でいっぱいに膨らんだ幅広の革帯を腰に巻きつけての一人旅をしていて、ちょうどそこの渡りの辺りで一休みした。その晩、泊めてもらう予定のコロニーリャの大牧場に近かったんでね」「まるで昨日の事のように覚えているさ!……暑い盛りの二月。わしは、もう何時間も速足で馬を走らせてきたの ...

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