花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香

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     マルガリーダ女史の亡きあと、「憩いの園」という名の老人ホームは、この人なくては成り立たなかったかも知れない。親に連れられて香川県から四歳で移住し、他に違わぬ同じように移民の大変な苦労をしたそうで、 

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     娘の日本語学校の関係しかないと和子は私に言ったことがあるが、今になって私に上村祥子夫婦に救われたと、その頃のことを思い出し話した。そんな和子ならこれからも永く交際したいと思える。私は古いと言われても

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     「姑、小姑があんまり酷かったから、こんな所にあなたがいては、自殺するかもしれない言うて、上村さんの近所に越すようにしてくれたのよ」 どういうわけか、この頃の事について上村祥子夫婦から、私はまるきり聞

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     「お知り合いの住所をなくしたなんて、あなたの不注意よね、それがあればあるいは、別の道が開けたかもね」 「そうよ、何とかなったと思うわ」 「そのあと、どうしたの?」 「土地があるから、家を建てて住みな

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     「普通の暮らししてたでしょうか…」などと、テレサテンの歌の一節のような言葉を、微笑を浮かべながら言う。 「船室は三人部屋で、訪日して三カ月も遊び帰る岩瀬さんというお産婆さんと同じ部屋でね、よく面倒み

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     「私達は夫だけで助かったわね、いろいろ夫にあっても我慢できたわよね」と美紀子は言った。 農作業の疲れと痛めた体に、精神まで傷め付けられる仕打ちが加われば、耐えられないことは容易に理解できる。自分の意

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     また日本を出るときに持ってきたというダイヤの指輪を売って欲しいと頼まれたこともあったため、岡山弓子の生活の苦しさを美紀子からたびたび聞かされある程度は理解していた。 コチア青年である彼女の夫は、ニン

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     一九八〇年代のハイパーインフレ時代は遠い昔になってしまい、二〇〇五年現在は一ドルに対して一レアル七九センターボスである。ドル値はどんどん落ちてゆくばかりの気配で、上がる気配は見えない。なぜドルがこの

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     こうしてますます金持ちになる御仁や、ドル計算のサラリーを貰っている駐在員に対して「ドル族」と言葉が生まれたくらいである。日本人宅に入った強盗は「ドルを出せ」と言った。強盗だって知っている事実だったの

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     「そりゃ、承知しないわよね、そういう状態では。いくらなんでもね。出て行く出て行くを繰り返していたそうだけれどね、出て行く所がないし。青年にしてもせっかくの花嫁を逃がしたくはないし、誰かが知恵をつけた

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