赤い靴を履いて日本を出でゆきし女の子とおなじ波止場を発ちぬ 赤い靴は子供のころに履いたきりだった。大人になって現在にいたるまで、どういうわけか私は黒や紺色の寒色系が好みで暖色の中でも赤はことに趣味に合わず身につけたことはめったにない。この出航の日も、もちろんそんな靴を履いてはいなかった。 しかし、日本で歌いつがれている童謡の女 ...
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花嫁移民=海を渡った花嫁たちは=滝 友梨香=4
第二章 出航 私がウルグアイへの渡航手続きをはじめたのは一九六五年の春だった。花嫁移民はまず夫となる者の戸籍に入籍することが第一歩であり、本籍地にその手続きをしたうえで、その事実を夫なる人の移住している国の日本にある領事館へ届け出て、呼び寄せ手続きをはじめ、永住目的のビザをとり入国をする。 私の場合は先に述べたように、実母の妹 ...
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ミヨ子女史は青年と花嫁候補に対して、終始親身であり手を抜くことはなく、どんな労をも惜しまなかったと「ききよう会報」は紹介している。 小南ミヨ子女史が亡くなってその四十九日が営まれたことは、新聞記事で後に知ったことであるが、今年二〇〇七年三月二十五日の一周忌は、その事前に知り、曹洞禅宗仏心寺へ行き参拝させてもらうことができた。日 ...
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小南ミヨ子女史をいまも先生と慕い、遺影に手を合わせている写真には、六十歳半ばから七十歳ぐらいの女性ばかりが映っている。これがブラジル青年移民へ花嫁として送り出された人達の現在の姿である。 この花嫁達には「ブラジルききょう会」という会があり、会長の大島順子は六十三歳で神奈川県出身、現在はミナス州カンブイに在住している。「ききょう ...
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プロローグ 「花嫁移民」―こう言うだけで、「エッ」と誰でもが目を大きく開き、先行く人は振かえって見る。それは特殊な人生を歩いている女性を想像させるに充分な言葉だからであろう。祖国日本のみならず、このブラジルおいても同胞が同じ反応を示すので、私たち花嫁移民は自ら口に出すことはめったない言葉である。 一九九九年NHK短歌全国大会に ...
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