『天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも―阿部仲麿』 この和歌は『百人一首』の中にある詩だが、仲麿が16歳の時(716年)、遣唐使留学生に選ばれ唐に入りました。仲間が日本に戻った後も唐に残り、玄宗皇帝から籠をうけ、30年以上も滞在した後、来唐した遣唐使と一緒に帰国することとなった。 唐の友人達が送別の宴を開いてくれ ...
続きを読む »読者寄稿
ふるさと=サンパウロ 梅田禎一
『ふるさとは遠きにありて思うもの』 そんな一句を初めて読んだのは少年期でしたが、その真意が解せず八十路を越えた現在になって何となく思い当たる様になりました。 2才の年、父母と4人の姉と共に生まれた日本を離れブラジルへ移住。その翌年、母は5人の幼子と若い父を残し亡くなりました。その後の父は13才の長女を筆頭に家族のために一生懸命 ...
続きを読む »いれずみ=サンパウロ 鎌谷昭
女性が身体にいれずみを入れるようになって何年たったのだろうか。 初めてここブラジルで女性のいれずみに出会ったのは、ざっと数えても20年近く前のことだ。若い女性のマッサージ治療のあと、お灸をしておいたほうがより完全と考えて薄いシャツをたくし上げたら、背中の方にそのいれずみはあった。 男でもいれずみをするのは特別な人といわれて育っ ...
続きを読む »「ちばりよー・うりずん会のぐすうよー」=ブラジル連邦共和国在那覇名誉領事 西原篤一
沖縄県は、日本列島の南西方向に位置し、日本最南端が熱帯地域との境界にあたる波照間島。最西端は国境の島として知られ、台湾に最も近い与那国島がある。また、沖縄県内の島は大小合わせて60余あり、沖縄本島、宮古島、石垣島に人口が集中している。 1879年(明治12年)の廃藩置県で、琉球國は沖縄県になり、1945年沖縄戦、1972年5月 ...
続きを読む »運動会=サン・ローレンソ・ダ・セーラ 丹生登
近年の日系団体の集まりに若い人達の参加が少なく、特に県人会の集まりなどには高齢者が殆んどで、如何にして若者を集めるかが各団体の課題のようです。戦前は団体の中心会館が寄り所で、 戦後も私が移住してきた当時1950年代後半期から60年代頃は、日曜には会館に行って何かの催しに参加するか、出来ずとも寄り逢う所で見聞を高めていたのが思い ...
続きを読む »ノン ポコレンデ=マリリヤ 日高徳一
過日、西銘光男氏と駒形秀雄氏の投稿を拝見し、ごもっともなご意見だと思いました。ブラジル人が口にするのでしたら、日本人をからかった言葉です。 私は戦時中をブラジルで過ごしたものですが、『ジャポネス ガランチード』なる言葉を、戦時中にブラジル人や日本人が口にしたのを耳にした事はありません。 戦後、邦字紙が再発刊されるようになって、 ...
続きを読む »人間の思惑 終着駅が見えて来た「日本国の将来」=カンピーナス 樋口四郎
最近私は人生の卒業生みたいに何でも自分自身で勝手に決め込み、この先の世渡りをいかがに過ごすべきか等と考えてはハタと我に返る。出来るだけ時間を作っては、下手な随筆等に夢中になり、パソコンに向かって出来の悪い頭と知りつつ、ボケ防止を兼ねて世の中の話題に目を向け、書き留めては複数の日語紙に投稿し笑われて過ごして居ります。 それにして ...
続きを読む »祖父と御嶽山=サンパウロ 新井知里
昨年、突然大きな噴火をして日本中を驚かせた御嶽山。長野県生まれの私は、特別大きなショックを受け、すぐ懐かしい母方のおじいちゃんを思い出した。 祖父は、長野県飯田市の繁華街に広い自転車店を持っていた。住み込みの従業員6人ほどいて、いつも賑わっていた。飯田市が桜の咲く頃に大火となり、町中焼けてしまうまでは、大きな蔵のある街では成功 ...
続きを読む »夫婦別姓=サンパウロ 駒形秀雄
現在、日本では『夫婦別姓』の議論が盛んになっています。現在日本の民法では男女が結婚した場合、その夫婦の姓(苗字)をどちらか一方の苗字に統一することになっていて、例えば『中村ともこ』さんが山田さんと結婚すると、女性は『山田ともこ』となり、中村という独身時代の苗字がなくなります。 夫婦別姓を認めよというのは例で言えば、中村さんは結 ...
続きを読む »奇特な農家=イビウーナ 瀬尾正弘
今から紹介する北原昭さんは、サンミゲール・アルカンジョ市のコロニア・ピニャール(通称福井村として知られる)植民地で活躍している一農人である。彼は徳島出身で力行会の戦後移住者であるが、新しい村造りを目指す福井村に共鳴し、同時にこの地が果樹栽培の適地と思い入植した。 彼は幾種かの果樹を試み、その結果、富有柿とウーバを主作とし本格的 ...
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