サンパウロ 坂上美代栄
札束を吐き出すパイプ写されし汚職まみれのペトロブラスよ
大物に小者絡まりあばかれしあちらこちらに火の粉が散れる
汚職の根掘ればどこまで行くのやらニュース聞くのもほとほと厭きる
2016年1月29日 短歌
サンパウロ 坂上美代栄
札束を吐き出すパイプ写されし汚職まみれのペトロブラスよ
大物に小者絡まりあばかれしあちらこちらに火の粉が散れる
汚職の根掘ればどこまで行くのやらニュース聞くのもほとほと厭きる
2016年1月15日 短歌
ソロカバ 新島 新為せば成る為さねば成らぬとは申せ一首なすにも苦心惨憺五キロほどペダル踏むにも息が切れ一首詠むにも青息吐息自腹切る訳ではないがこの長雨で野菜値上りするを心配敵もさる者引っ掻くものとは誰のことあれまくれぐれ惚けなさるなよクーニャ議長の厚顔無恥には呆れるがあのしぶとさは見習うべきか 「評」 ...
続きを読む »2015年12月30日 短歌
サンパウロ 武田知子
家元ゆ新代表の派遣とて茶道の普及多岐にわたれば
伯栄庵せましとばかり参加せる和服はなやぐ絹ずれのして
お茶席に供する菓子も家元に学び帰伯のブラジル娘
宗旦忌偲ぶ茶会の進むうち懐石供す汗たりながら
茶懐石日本さながら今日一と日堪能せしと客笑顔にて
2015年12月19日 短歌
アルトパラナ 白髭ちよ
幾日もの闘病生活空しくて友は一人黄泉への旅に
眠る如安らかな面(おも)の美しく並み居る人等に安堵与える
のうそん誌を繰り返し読み好みしと付き添いし人吾に語れり
のうそん誌を貸して上げたき人は逝き後幾冊も本棚に眠る
葬式を待つがに雨が降り来たり心にしみいる雨だれの音
2015年11月27日 短歌
サンパウロ 武田 知子
プリンスの赤い絨毯踏みしめ来、行啓ほぎて握手交はせり
すがすがしき微笑受けつつ握手せる紀子様の手の温みじんわり
広島の神楽公演紅葉狩『八岐のおろち』の神話思(も)い出づ
相席の同輩なれど二世とて説明せるをうなづきて見る
混み会うを見越し早めの墓参なり夫逝きてより早やも八年
「評」久しく潜めていた武田(宗知)作品の本領が『じんわり』と伝わって来る一連。
続きを読む »2015年11月17日 短歌
バウルー 小坂 正光
渡伯時に生れし末弟を伴いて八十五年の廃耕地訪う
コーヒーの樹海で栄えしノロ線の末弟生れし廃耕地訪う
生れ出て人生一と幕老いの坂今朝も洗顔ヒゲを剃るなり
夜半覚めて寝むれづ文を手になせば何時しか刻の過ぐるに気づく
朝毎にコーヒー呑みつつ老い妻と冗句まじりの会話を楽しむ
2015年10月29日 短歌
サンパウロ 武田 知子
はるばると六百キロのバスの旅春泥の中弓場の土踏み
稚鴎師の百歳祝いにボーロ切る姿は凛々とまぶしかりけり
弓場の里稚鴎師迎え百歳も六歳の子もなごやかな句座
散策に果てなく続く鈴成りの垂れしマンガは未だ熟れかね
ふくろうも蛙も鳴きてカナブンの飛び交う弓場は田舎さながら
「評」四、五首目の様なところを散策して、心落ちついてこそ、まろやかな歌も生れると言うもの、稚鴎(ちおう)氏を囲んでの句会も、また楽しからんや。
続きを読む »2015年10月16日 短歌
サンパウロ 梅崎 嘉明
電柱を巻きてサンジュオンの蔓は伸び天に向いて紅花をささぐ
ああ今日も平凡にして一日過ぐ昨日と同じ食事を並べ
先妻を亡くし再婚の妻も逝き吾に永かり昭和のみ代は
落ちこぼれ短歌など詠みて詮(せん)もなし妻はあの世で笑っておらむ
実際の私の日々は何なのか優柔不断の枯落葉なる
2015年9月19日 短歌
サンパウロ 武地 志津
郷里より届きたる本「伊勢神宮」開けば爽快の気われを包みぬ
参道の砂利踏む音のさくさくと正に聞こゆるごとき写真に
幼時より思い出深い五十鈴川朝もやけぶる静寂の中
シンビジウムの鉢携えて来し友が娘(こ)の佛前に香薫き呉るる
同じ頃娘(こ)を失ないし友とわれ折々にして遺影に語る
2015年9月5日 短歌
サント・アンドレー 宮城あきら
沖縄のゆくえ如何にか明日暗き辺野古の海に招かざる基地
全国土の六パーセントに過ぎさりしわが故郷に基地がひしめく
国防はその地に住めるはらからの賛意なければ成り立ち難くも