先週末から公開中の映画『グランデ・ビットリア(偉大な勝利)』(ステファノ・ラピエトラ監督)を見た。もう日本ですら久しく作られていない柔道映画が、ブラジルで制作されたことに深い感慨を覚えた。「移民が伝えた東洋哲学がブラジル文化を補完する」との図式が見事に当てはまる作品だ▼父に捨てられた母子家庭の少年が、学校でケンカばかりして退学 ...
続きを読む »樹海
罪亡き人の命を噂が奪う
サンパウロ州海岸部グアルジャで起きたファビアネ・マリア・デ・ジェズスさんリンチ殺人事件から10日が経った。単なる噂が罪無き人の命を奪った事件は、ストレス社会のブラジルと自分達の手で正義の鉄槌を下すという考えの恐ろしさを改めて露呈した▼3日に起きたリンチ殺人事件の発端は、4月に流れた、子供を誘拐して黒魔術の儀式に使う女性がいると ...
続きを読む »樹海
MPB歌手のジャイール・ロドリゲスさんが8日亡くなった(9日付け本紙2面で詳報)とても親日的でコチアの家には和室もあった。1981年に初訪日、日本ツアーは8回。マネージャー役を務める妻クロジーネさんは母親が日系三世のメスチッサだから当然か▼06年に憩いの園「緑の祭典」の舞台。「チョットマッテクダサ~イ、スイマセン、オネガイシマ ...
続きを読む »事実無根だった大統領罷免
「私が失ったものを誰が返してくれる?」。コーロル元大統領は上院で4月28日、感極まった様子でそう演説をした。「23年間、私への疑惑と不正義を示唆する言動や眼差しにひたすら耐えてきた」という言葉を聞き、ブラジルの民主主義の未熟さを痛感した▼92年12月、国民とマスコミは湧きあがる抗議行動によって〃不正を働く大統領〃の職責剥奪(I ...
続きを読む »樹海
コラム子が最近スーパーで買う野菜はほぼオルガニコ(有機栽培)。農薬大国ブラジルでは使用量が多く、他国で使用禁止の農薬まで使われていると聞く。有機食品は多少割高だが健康には代えられない▼当地の有機食品市場の成長率は年間20%。連邦政府もW杯を利用して有機食品の宣伝に力を入れだした。今サンパウロ市で開催中のスーパーマーケット見本市 ...
続きを読む »中流階級を敵に回した大統領演説
祝日5月1日の前夜、ジウマ大統領が全TVとラジオを通して〃選挙演説〃を行ったと対立候補が批判した。今年に入ってインフレがぐんぐん上昇するのに反比例して、大統領支持率は見る見る下降している。その状況への焦りが現れた内容だった▼特に気になったのは「所得税の課税額の修正を4・5%上昇に抑えることを達成した」と、さも良いことのように強 ...
続きを読む »2言語併用大学で卒業者
ブラジルとアルゼンチン、パラグアイの国境近くにあるポ語とスペイン語併用大学で、今年半ばに初の卒業生が出る。普段から日本語とポ語の2言語や多言語併用環境にいると、成否が気になる取り組みだ▼ラテンアメリカ統合大学(ウニラ)は現在、イタイプー発電所のテクノロジー広場で授業を行っている。学科は16で、来年までに24コース増える。175 ...
続きを読む »樹海
先月、サンパウロ市内で18回を数える国際ワイン市「EXPOVINIS」が開かれた。11カ国400のワイナリーが出展し、3日間で約2万人が来場する南米最大規模の催しだ。ワイングラス片手に〃取材〃。ヨーロッパからの参加が多いが、もちろんサンタカタリーナ、南大河の南部2州に注目した▼飲み比べてみたが、それぞれの表情の違った芳醇さに目を ...
続きを読む »樹海
先日、知人A氏の誕生会に招かれた。訪れたのは、何組かの夫婦と、彼と同じ事務所で働くブラジル人Kさんの家族の面々。参加メンバーの半数である10人ほどを占めるKさんの大所帯ぶりに、参加者の一人の日系人は「お金を払うのはAさんなのに、こんなに連れてきて」と眉をひそめた▼そのKさんが別れた夫まで連れてきていたのには驚いた。日本では考えに ...
続きを読む »黒人差別とブラジルサッカー
スペインのバルセロナ所属の混血ブラジル人選手ダニエル・アルヴェスが、相手応援団が黒人差別の意味で投げたバナナを、「拾って食べる」という形で反対表明したことが話題を呼んだ。良い意味での「ブラジル人らしさ」が出た行為であり、有名賛同者が続々と出ている▼思えば、ブラジルでサッカーは1930年代から多人種や地域統合の要として重要な役割を ...
続きを読む »