ニッケイ新聞 2011年8月16日付け あの日は暑かった。昭和20年4月、国民学校に入学し、防空頭巾で2列行進をしての通学だった。正門で敬礼。奉安殿に最敬礼。寂れた山奥ながら村の広場では、竹槍の訓練もあったし、戦場に散華した兵士らの遺骨を納めた白布の木箱が届き、多くの人たちが哀しげにも凛々しく出迎えた情景も瞼の底に浮かぶ。そし ...
続きを読む »樹海
コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月13日付け 「万策尽き続投断念」の大見出しが躍り、菅首相がやっと退陣するの記事が11日付けの弊紙にあった。それにしても、眞に粘り強い菅直人首相の粘り腰である。民主党の執行部や衆参議員らも、いらいらしながら見守っていたが、なんと言っても、国民の支持率が10%台半ばと歴代最低水準になったことが大きい。こ ...
続きを読む »コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月12日付け 爆弾テロと銃乱射で76人もの市民を殺害したノルウェーの事件の容疑者は、犯行声明の中で日本を「理想」として賛美していると『週刊新潮』8月4日号で読んだ。いわく「〃81年から02年まで305人の難民しか受け入れていない〃日本を、〃単一民族の思想を保ち、欧米の多文化主義に反対する〃理想の社会と ...
続きを読む »コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月11日付け 今年の広島、8・6。菅直人首相が式典に出席した。ま、そんなことはどうでもいい。復興の象徴だった東洋カープが53年ぶりに公式試合を行ない、プレー前には、昨年のジュネーブ国際音楽コンクールで優勝した地元出身の萩原麻未さんが被爆ピアノで鎮魂の調べを響かせた▼広島に原爆が投下されてから66年。開 ...
続きを読む »コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月10日付け 水野龍の息子、龍三郎さん(80、二世)宅はパラナ州都クリチーバ郊外にあった。あまり裕福な地区ではなく、実に質素な家に住んでいた。44歳年下の妻との間には15歳を先頭に2歳半まで3人の子供がおり、ヤキソバ弁当を作って日々の生計を立てている。あの水野龍の息子がこのような質素な暮らし——と考え ...
続きを読む »コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月9日付け 2万人超の死亡と行方不明者を出した大震災は、最大の被害を被った宮城県でも復旧が進み、日々の暮しも将来への明るさが見え始めたのは喜ばしい。新幹線や高速道路も使えるし、沿岸の瓦礫対策も進んでいる。被災地では津波などで命を失った方々の発見や災害復旧に献身した陸自第6師団(久納雄二師団長)も宮城県 ...
続きを読む »コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月6日付け 中国・ウイグル族の独立派に警察が無差別発砲し8人を殺害や中東のシリアでは、政府軍が戦車の銃砲撃で反アサド大統領のデモ隊を攻撃するなど非人道的な行動が続く。中国の人権侵害は今に始まったことではないが、チベット民族や内モンゴルの弾圧も日常化しており、米欧を始めとする国々や人権擁護団体からは非難 ...
続きを読む »コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月5日付け 邦字紙だけみると、いまも一世の存在感が強いような気がするが、現実の日系社会はすでに三、四世全盛期なのだと痛感させられる事が最近二つ続けてあった。全伯和太鼓大会でクリチーバの若葉太鼓が優勝したことと、YOSAKOIソーラン全伯大会でロンドリーナのグルッポ・サンセイが6回目の栄冠に輝いたことだ ...
続きを読む »コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月4日付け 1日に四季があるような最近のサンパウロの天候。「ブラジルは暑いのでしょう?」と決めてかかる日本からの連絡はさらりとかわし、フェイラでも季節を感じるのに忙しい。そろそろ終わりだろう、アーティチョークや柿、そのなかでもパラナ松の実、ピニョンを見るとしみじみとしてしまう▼来伯当時、6月祭りで食べ ...
続きを読む »コラム 樹海
ニッケイ新聞 2011年8月3日付け キリンが約2千億円もの投資をしてスキンカリオルを子会社化するとの発表には驚いた。当地のグループ企業・東山農産加工が築いてきた84年もの歴史が買収劇の背景にはある▼戦前に同支配人を務めた君塚慎氏が戦後初の駐伯大使として赴任、東山の後任だった山本喜誉司氏が戦後の勝ち負け抗争で荒れたコロニアの統 ...
続きを読む »