「独居や思う事なき三が日」は夏目漱石が詠んだ正月の句である。英文学が専門なのに漢学の素養も素晴らしく正岡子規とは友人であり俳句の嗜みも深い。独居は「ひとりい」だが、あの繊細な人物が「思う事なき三が日」とも考え難いけれども、あるいは雑煮を楽しみ独り静かに正月を心の赴くままに楽しんだのに違いない▼ニッケイ新聞は五日が仕事始め。邦字 ...
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コラム 樹海
この一年はイラクに振り回され、世界の国々が緊張し、サダムの掲げる宝刀と電子兵器の戦争が繰り広げられた。イラク戦争に反対する独仏露とアメリカの対立もあったけれども、米英軍の凄さをTVで観戦した人々たちは「武器」の持つ意味を改めて知り「戦争とは何か」について考えさせられたのは興味深い▼もう一つは、北朝鮮の核開発がある。ノドンやテポ ...
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師走。年の暮れともなれば僧侶も忙しくなり走るようにして檀家をまわる。この「師馳せる月」がなまって「しはす」となったの説があるけれども、極月ともなれば、なんとなく気が忙しい。慌ただしくなるにつれて過ぎ去った月日の事柄もつい忘れがちになる。今年もまたイラク戦争や北朝鮮の核兵器といろんな事がありすぎたのに―▼スポーツでは星野監督が率 ...
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さきに霞ケ浦の養殖鯉がコイヘルペス・ウイルスにより大量死したあと、新潟でも錦鯉が同ウイルス感染で死んだことが確認された。このことはブラジルの錦鯉愛好者の間でも大きな波紋を巻き起こした▼日本側が毎年、ブラジルに送ってくれる稚魚は、しばらく来ないことになった。ウイルスが人には感染しないことが明らかであるにもかかわらずである▼ウイル ...
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イラクのサマワを視察して帰国した公明党の神崎武法・代表が「危険な印象はなかった」と語ったことで陸上自衛隊の派遣も確定的となった。神崎・代表は小泉首相との会談でも、陸自の派遣に前向きの発言をしているし早ければ一月十五日頃に先遣隊を送る方針が固まりつつある。自衛隊のイラク派遣については、国民の五二%が反対しているし政府は慎重である ...
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今年もまた暮れが近づいてきた。不思議なことに還暦が近い年頃になると、時の流れが速すぎると感じるようになり、一年という長いはずの月日があっという瞬間に過ぎ去ってしまう。小さな子供のときには「早く大人になりたい」の思いが強く、あんなに時の来る遅さに苛立ちしたのに―である。残り少なくなった暦を見ると、一月三日には「山根剛氏死去」と記 ...
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二〇〇三年(平成十五年)日本政府秋の叙勲における、ブラジル国内の日系人受章者は、いつもと違い、ほんの少しだが特徴があった▼従来圧倒的に多かった、日系団体の指導者として地域社会発展に貢献、という受章理由以外の人が二、三見受けられたからである。つまり、元会長とかの肩書がない、農業技師、空手指導者、美術活動実践者が含まれていた。受章 ...
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ブラジルでは「飛行機の発明はサントス・ドゥモン」となっているが、この国の発見者がポルトガル人のカブラルと同じくかなりあやしい。飛行距離は確かに短かったし飛行の見学者も少なかったが、やはりここはアメリカ人のライト兄弟の偉業を称えたい。一番初めに空へと向かったのは弟のオービルさんで滞空は十二秒、飛行距離は三六メートルの記録が残って ...
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こういう人を真の篤農家というのだろう。長野県で高原野菜をつくっている、がんこ村代表取締役の横森正樹さん。さきの講演会で農業はまず土作りだ、と説き、いい土をつくるため、堆肥を常に補給しよう、と助言した。現代の農業を「近代農業」と表現したのはたいへんな皮肉である▼講演会を聴講した、特に農業に携わっている人たちは「分かってはいるんだ ...
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イラクの国名は「豊かな過去を持つ国」を意味するアラビア語からきているが、確かに優れた歴史を誇る国である。紀元前四千年にはシュメール文化の花を開かせハンムラビ法典が施行されたのは紀元前十八世紀後半であり、ここで使用された文字や学問的な知識は古代西アジア文明を基礎付けるものであった。日本人にも馴染みの深い「千夜一夜物語」もイラクの ...
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