とある午後、「ブドウを頂いたから切り分けてくれる?」と頼まれた。鋏も置いてあると聞き、作業をしに行って、はたと考えた。置いてあったのは紙などを切る小型の鋏だったからだ▼この手の作業はお手の物の人が置いた道具だからと考えて作業を始めたが、茎が太くて切りあぐねるうちに、プラスチックの持ち手が壊れた。止むを得ずに別の鋏を探すも、周り ...
続きを読む »樹海
《ブラジル》小野ジャミルさんを日本移民110周年実行委員長に推薦
来年に控えた日本移民110周年実行委員長の選考が難航しているとの噂を聞く。飯星ワルテル連邦下議には半年前と同様、就任への招待が再度行われたが断られたとか。来年が選挙の年であることから、より国政に関わることに専念したいとの思いが強いのではないかと想像される。110周年を機に、パラナ州の上野アントニオ、西森ルイス両氏のような地元日 ...
続きを読む »「負けて勝つ」のがサンパウロの歴史
サンパウロ市の誕生日、1月25日を心からお祝いしたい。1553年のこの日、マヌエル・ダ・ノブレガ宣教師が率いるイエズス会士ら一行が、チビリサー族らインディオ教化のため、初めてのミサをサンパウロ市で行った。その場所がパチオ・ド・コレジオであり、チビリサー族らが住んでいたのが、現在のリベルダーデ周辺だ。マヌエル・ダ・ノブレガは巨大 ...
続きを読む »《ブラジル・最高裁判事飛行機墜落事故》「誰がテオリを殺したか」
「誰がテオリを殺したのか?」――そんな陰謀説が、テオリ・ザヴァスキ最高裁判事を乗せた飛行機が墜落した19日からネット上を飛び交っている。「単なる事故」か「誰かが画策した事件」かで意味が変わってくる。今回はさっそく連邦警察も捜査に乗り出した。「事件」でないと証明する意味でも、しっかりと調べてほしい
続きを読む »ブラジルに蝉しぐれはあるのか
「セミはブラジルにいるのか」―そんな議論が日系社会の俳句界には昔からある。要は「蝉しぐれ」という季語が使えるかどうかという話だ。今年から加わった研修記者がUSPピラシカーバ農大に昨年留学し、昆虫学を勉強していたというので、この問題を尋ねた。すると「いますよ。捕まえて標本を作りましたから」とあっさり答えた▼恥ずかしい話だが、コラ ...
続きを読む »ブラジルの刑務所内での暴動に見る強者の論理
年明け早々、ブラジルでは刑務所内での暴動が頻発し、100人以上の死者が出ている。しかも、死者の多くは斬首や焼殺など、目を背けたくなる扱いを受けている▼ブラジルでは、暴動の際、囚人同士の殺し合いや脱獄が起きる事は稀ではない。1~2日に起きたアマゾナス州での暴動では60人が殺され、225人が脱獄。同州では8日にも4人が殺されたし、 ...
続きを読む »日本語とポルトガル語の遠さ
コラム子の実家は静岡県沼津市にあり、朝に晩に霊峰富士を見ながら育った。体力自慢の父親からは、「若い頃は工場の勤務が終わった後に、夜9時頃から富士宮駅から徹夜で歩いて、朝までに富士山頂へ行った」という話を百回ぐらい聞かされた▼ふと調べてみると、富士宮駅から富士宮ルート五合目まで35キロもある。富士宮は標高124メートルで、五合目 ...
続きを読む »《ブラジル》 移民110周年実行委員会は地方連合会を主役に
パラナ州とサンパウロ州が二大日系集団地であることは、誰もが認めるところだが、連合会のあり方はまったく異なる。パラナ州は傘下の74団体が集まって総会を開き、74人の会長の中から、連合会(リーガ・アリアンサ)の会長を選出する。本部がロンドリーナにあるので、多くの場合、北パラナの団体会長が連合会会長になる。同地の日系社会のリーダー、 ...
続きを読む »どこにいる? 我らのばっちゃん
1月7日放送のNHKスペシャル「ばっちゃん―子どもたちが立ち直る場所」を見て、居場所をなくした子供達と、彼らを無条件で受け入れる中本さんの姿が脳裏に焼きついた。家庭や学校などで居場所をなくした子供達が82歳の中本さんの家で食事をし、心満たされて帰っていくのだ▼中本さんは「おなかがすいたら悪い事を考える」と言いながら、拠り所を必 ...
続きを読む »理想主義すぎるブラジル憲法と、遵法精神の少ない民
古杉征己さん(42、広島県三原市)はブラジルで弁護士試験が始まってから、おそらく初の日本人合格者だ。一見、控えめな感じだが、内には強い意志と燃え盛る志を秘めている▼苦節十年で弁護士試験に合格した感想を訊くと、まず「苦労しました」と前置きしつつも、「こんなに格差が激しく、汚職と犯罪が蔓延し、法律と現実の乖離もひどい中で、正義とは ...
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