足跡をたどるのが最も困難な笠戸丸移民について、これほど足を使って調べ上げた本があっただろうか――。本紙が編集して沖縄タイムスから昨年末に出版された『未来に継ぐ裔孫』(赤嶺園子著、80レアル)は、笠戸丸で渡った沖縄県人移民325人の生涯を丹念に記した貴重な記録集だ。サンパウロ州はもとより、リオ州、南麻州、遠くは亜国や沖縄県まで家 ...
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どこまで残る? 文化やその意味
28日、所要があって出かけた先で、カトリック教会の周りにケルメッセの屋台が立ち並んでいるのを見た▼時間の都合で覗きもせずに帰ってきたが、帰る途中、別の教会でも同様の飾り付けが施され、大勢の人が集まる様子を見た知人が「こういう行事をやればお金も入ってくるんだろうけど、教会本来の目的からは外れているんじゃないのかな」と呟いた▼気に ...
続きを読む »人の生死を分けるものは?
24日未明、ゴイアス州でセルタネージャの歌手クリスチアーノ・アラウージョとその恋人が事故に遭い、同日から25日にかけて、通夜や埋葬が行われた▼不学故にどれほど人気がある歌手か知らなかったが、テレビでは特集を組み、遠路はるばる葬儀に駆けつけた人も多数いた。番組の一つでは、シートベルトを使っていなかったために死亡した有名人と共に、 ...
続きを読む »急上昇する「デカセギ指数」
日伯間には「デカセギ指数」(以下、D指数)という経済指標があってもいい。10年ほど前、来伯した日本経済新聞記者から「デカセギ求人広告が急増した業種や地域に密かに注目している。数カ月後にその工場の生産が上がるからだ。中短期動向が予想できる」との話を聞き、D指数を意識し始めた▼3月以来、当地マスコミでは訪日労働者増との報道をよく見 ...
続きを読む »和食弁当ブームの兆し?
最近、日本文化の一つとして「弁当」を紹介するポ語サイトを度々見かけるようになった。今年はサンパウロ市で可愛いキャラクターをあしらった「キャラ弁」のワークショップまで開かれ、新たな和食文化として弁当が注目を浴びつつあるようだ。「寿司・刺身、焼きそば」という定番日本食が定着し、日本食店数も飽和状態を迎えたことで、目新しいものを求め ...
続きを読む »持ち寄りが美味いところは活動が盛ん
コロニアを取材して回る中で気付いた持論の一つに「持ち寄りが美味いところは活動が盛ん」がある。先日もレジストロ農協婦人部の「勉強会」に取材に行き、昼食は「一品持ち寄り」だった。珍しいワラビの煮付けやカラシ蓮根、リベイラ地方特産のププーニャのサラダなど10数種類ありそれぞれ実に美味しかった。食生活のレベルの高さと日伯のバランスの良 ...
続きを読む »ルーラは何を恐れているのか
22日付エスタード紙社説欄に、「ルーラは何をそんなに恐れているのか」というタイトルの文が載った。下院ペトロブラス議会調査委員会が11日にルーラ研究所の岡本パウロ所長召喚を決めた後の労働者党(PT)党大会で、ルーラ前大統領が苛立ちを露にした事などに触れ、「疚しいところがない者は何も恐れる必要はない」と切り出している▼先週の当欄で ...
続きを読む »ギリシャとブラジルの相似点とは
粉飾会計が大問題になっている。公的銀行に生活扶助などの政府支出を立て替えさせ、それを国の会計に負債として計上しないことで収支を良く見せる操作だ。なぜ粉飾が必要かと言えば、収入以上の支出をしたからだ。年金改正もしかり。議会案承認なら数年後には出費が増大するので、基礎的収支を好転させたい大統領には拒否権行使しかなかった▼ギリシャと ...
続きを読む »人工食品と食の原点
「トランス脂肪酸(gorduras trans)」の食品添加を、3年以内に全廃すると米国が発表した。マーガリンなどの加工油脂類に含まれ、取りすぎると心臓疾患のリスクを高めるとされる食品成分だ。NHKの報道によれば、アメリカ食品医薬品局はこの決定により、年間2万件の心臓発作を防ぎ、心臓病による死者7千人減を見込んでいるという▼「 ...
続きを読む »コロニアは消滅したか?
107年目の移民の日に日刊邦字紙が2紙も続いている事実を、誰が予想できたか。例えば1970年3月3日付(45年前)パ紙の「十年後のコロニア」記事で、日本の研究者・山田睦男氏は「コロニアは消滅するが、日系人は機能分化しながら各分野に地位を確保する」と論じた▼文協の初代事務局長・藤井卓治氏は『週刊時報』創刊号(1976年)に「十数 ...
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