「ほんとに帰りたかった―。それから五十年もいるけどね」と自嘲気味に話す佃さん。 入植して二、三年後にマナウスに出ることを考え、下見にまで行ったものの、金銭的な理由や子供が小さいため踏みとどまった。野菜作りを続け、後に食料品店や家具店、電気商を営んだ。 「あきらめの気持ち。子供が大きくなるまでは」。二年も経たず仲間が次々と脱 ...
続きを読む »ブラジル最北・北半球の移住地タイアーノ
ブラジル最北・北半球の移住地タイアーノ(4)=現地化生活しつつも日本人の誇り忘れず
2月25日(金) 電気はなく、夜はディーゼルオイルのランプ。水も五十メートルほど離れた井戸から汲んでいるという。 「えーと、日本語は分かりますか?」。問い掛けると、歯のない顔に笑い皺を寄せて、「分かるけど話せないよ。もう四十年も使ってないからね。でも日本語で話していいよ」 以下、記者からの質問は日本語、中村氏の返答はポ語で ...
続きを読む »ブラジル最北・北半球の移住地タイアーノ(3)=インジオと結婚した噂の〃ナカムラ〃さん
2月24日(木) 「へえー、アツノリと話が出来たの。あんた運がいいねえー」 脱耕する仲間たちを最後まで見送り続け、七一年にタイアーノを後にした秀島さんは驚きの声を上げた。最後までー、といっても家族単位の話で、現地人と結婚してタイアーノへ留まった準二世がいたのである。 今回の取材中、まだひとり日本人が住んでいる、という話を ...
続きを読む »ブラジル最北・北半球の移住地タイアーノ(2)=正月は一度も祝わず 野菜作るも需要なし
2月23日(水) 「確かに土地はよかったよね。肥料なんかもいらないし、三期作も四期作もできるわけだから。けどねえ・・・」 秀島瑞子さん(一九二八年生まれ。六一年タイアーノ入植。佐賀県出身)は当時を振り返る。 第一次入植者である三木祥弘氏(現マナウス在住)が「緑―西部アマゾン日本人移住七十年記念誌」に寄稿したものによれば「 ...
続きを読む »ブラジル最北・北半球の移住地タイアーノ(1)=ロライマ州唯一の入植地昔、雨季には町まで10日
2月22日(火) 【ボア・ヴィスタ発=堀江剛史記者】ヴェネズエラとガイアナに国境を接するブラジル最北の州、ロライマ。州唯一の日本人移住地であったタイアーノ入植から今年で五十年を迎える。数少なくなった元入植者に当時の様子を聞き、かつての入植地跡を訪れた。「消えた移住地」で現地人さながらの生活を続ける準二世にもインタビューを試みた ...
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